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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 “裸の王様”の絵葉書
2009-03-18 Wed 22:16
 イタリア・ミラノの証券取引所で、ポルノ女優のラウラ・ペレゴが金融危機に抗議してイタリア国旗の色にペイントした体に下着だけを身につけた姿で、証券取引所の入り口の中にあるテーブルの上に登る騒動を起こして逮捕されたそうです。

 というわけで、今日はこんな絵はがきを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

 ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世(ヌード絵はがき)

 これは、イタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世の肖像を取り上げた絵葉書ですが、よくよく見ると、裸の女性を組み合わせてポートレイトが構成されています。制作者については調べきれなかったのですが、どんな国であれ、自国の国王をこんなかたちでパロディにしたら問題になるでしょうから、おそらく、フランスあたりで作られたものではなかろうかと思います。なお、国王の元の顔については、こちらをご覧ください。

 ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は1869年11月生まれ。1900年に父ウンベルト1世の暗殺によりに王位に就き、一次世界大戦では、オーストリアとの対立から三国同盟を破棄して連合国側につきました。しかし、イタリアは第一次大戦で勝利を収めたものの、期待したほどの領土や賠償金は獲得できず、国内経済は低迷。そうした中で、国王は新興勢力のムッソリーニに組閣を命じました。

 ムッソリーニ政権下で、イタリアはエチオピアとアルバニアに侵攻しますが、これに伴い、国王はエチオピア皇帝とアルバニア国王を兼ねることになります。しかし、第二次大戦の戦局が悪化すると、1943年7月、国王は王制護持のためにムッソリーニを解任。同年9月に連合国に降伏しました。

 戦後の1946年5月、国王は第二次大戦の敗戦の責任を取って退位し、息子のウンベルト2世に譲位します。しかし、ファシスト政権への積極的協力や、降伏直後のドイツ軍の侵攻を前に国民を見捨ててローマから逃げだしたことなどが問題視され、退位直後の6月、イタリアの王制は廃止されました。

 さて、今回のミラノ証券所の事件に限らず、欧米などでは、たとえば毛皮反対の女性活動家などが抗議のためにヌードになるという話を時々聞きますが、ヌードで抗議をするという思考回路は僕にはどうも理解できませんねぇ。それだったら、愛国心の表現として、馬の背中に国旗を敷き、その上でヌード写真を撮影したというペルーの女性の方が、まだ、理解できます。もっとも、彼女のヌードを見て愛国心ではなく別の感情が奮い立ってしまうというケースもあったのでしょうけれど…。

 まぁ、今回、逮捕されたイタリアの女性は「多くの人から集めたお金の運用に失敗している人たちに抗議したかった」と話しているそうですから、案外、身ぐるみ全部はがされて自棄になっただけということなのかもしれませんがね。


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