2008-07-28 Mon 19:10
今日はペルーの独立記念日です。というわけで、こんな切手を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1921年に発行されたペルーの独立100年の記念切手で、独立の英雄、サン・マルティン将軍の騎馬像が取り上げられています。 16世紀、インカ帝国の滅亡後、ペルーはスペインのペルー副王の下で過酷な支配を受けていました。 1780年、副王の圧政に耐えかねたペルーの人々は反乱を起こします。反乱は、当初、白人も含んだ大衆反乱でしたが、次第にインカ帝国の復興という目標を掲げて、白人に対する暴行、殺害が相次ぐようになっていきました。結局、首謀者のトゥパク・アマルー2世は部下の裏切りにより捕らえられ、処刑されてしまいます。 18世紀末から19世紀初めにかけて、フランス革命とナポレオン戦争でヨーロッパが大混乱に陥ると、本国の混乱に乗じて、1809年にはキトやチャルカスで、1810年にはカラカスやブエノスアイレス、サンタフェ・デ・ボゴタ、サンティアゴ・デ・チレなどで自治政府が作られ、独立運動がおこります。しかし、ペルー副王のフェルナンド・アバスカルは遠征軍を送って自治政府を鎮圧。同時期に起こったマテオ・ガルシア・プマカワの放棄も鎮圧されてしまいました。 こうした状況の中で、1821年、ラテン・アメリカ全体の解放を目指すシモン・ボリバルのラ・プラタ連合州がペルーにも遠征軍を派遣、同年7月28日、ホセ・デ・サン・マルティン将軍が首都のリマを解放し、独立を宣言しました。その後も、革命側と副王政府の戦闘は続きましたが、1824年、アヤクーチョの戦いでペルー副王ホセ・デ・ラ・セルナの軍は撃破され、 ペルーは事実上の独立を達成。1826年1月23日にはカヤオ要塞に籠ったスペイン軍の残党も降伏し、ようやくペルーの完全独立が達せられました。 ところで、ネットの外信ニュースを見ていたら、ペルーでは独立記念日を前に、馬の背中に国旗を敷き、その上でヌード写真を撮影した女性モデルのことが大問題になっているという記事が出ていました。 なんでも、この写真をめぐって、フローレス国防相が「これら愛国心の象徴には全面的な敬意が必要であり、不適切な使用には罰が与えられる」として検察当局に捜査を命じ、モデルの女性には国家侮辱罪で最高4年の禁固刑を科される可能性があるのだとか。これに対して、モデルの女性は「犯罪を犯したわけではない。ペルーを愛しており、それを全身全霊で表現する」と語っており、写真撮影も愛国心のためだったと主張しているのだそうです。 まぁ、僕の個人的な好みということでいわせてもらえば、馬上の愛国者ということであれば、今回の切手のサン・マルティン将軍よりも、彼女の“雄姿”のほうを、ぜひとも拝んでみたいものですが…。 トーク・イベントのご案内 8月2・3日(土・日)に東京・大手町のていぱーくで開催のサマーペックス会場内にて、拙著『韓国現代史:切手でたどる60年』の刊行を記念したトーク・イベントを行います。2日は14:00から、いわゆる“竹島切手“についての話題を中心に、3日は14:30から、韓国切手に見る日本時代の“遺産”についての話題を中心に、お話しする予定です。サマーペックスのHPにアクセスしていただくと、無料の招待チケットをプリントアウトしていただくことができます。当日は、会場ならではの特典もご用意しておりますので、よろしかったら、ぜひ、遊びに来てください。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|