2009-03-07 Sat 11:58
5日にニューヨークで行われたオークションに、インド独立の父と呼ばれるマハトマ・ガンディーの眼鏡や革サンダルなど5点が出品され、インド人実業家マリヤ氏が180万ドル(約1億8000万円)で落札しました。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1994年にインドが発行したガンディー生誕125年の記念切手で、今回のオークションに出品されたガンディーのメガネ、サンダル、懐中時計の3点が描かれています。 彼の活動として取り上げられているもののうち、糸車で糸を紡ぐ姿、右上と左側はインド独立運動時の塩の行進の際の写真をもとにしたものです。その足元に懐中時計が見えますが、おそらく、この時計が今回の出品物でしょう。 この時計は、1910年頃のゼニス社製で、ガンディーが終生愛用していたもの。1948年に彼が暗殺された後は形見分けで姪のアブハ(ガンディーは彼女に看取られて亡くなりました)が引き継いでいました。 塩の行進というのは1930年3月12日から4月6日まで、ガンディーとその支持者が、イギリスの植民地政府による塩の専売に反対し、グジャラート州のアフマダーバードからダーンディー海岸までの約380kmを行進した抗議行動のことで、ガンディーの非暴力不服従による独立運動の象徴的な出来事とされています。 切手の元になった写真のうち、左側の立ち姿のものは行進中のもの、右側の腰をかがめた姿のものは1930年4月5日、ダーンディー海岸で泥と塩の塊を持ち上げているようすを撮影したものですが、いずれも、サンダルの鼻緒や甲のひもなどが確認できます。ただし、80kmも徒歩で行進していれば、サンダルもボロボロになってしまい、途中で新しいものに変えている可能性もありますから、これが今回のサンダルそのものかどうかは微妙かもしれません。ちなみに、ガンディーが作った最初の塩につけられた値段は1600ルピー(当時の750ドルに相当)でした。 さて、今回、ガンディーの遺品を落札したマリヤ氏は、その代金をきちんと支払った上で、祖国に寄贈するのだそうです。なんとも太っ腹な話ですが、長距離輸送ビジネスのオーナーでもある同氏にとっては、会社の宣伝費用としてみればそれほど高くはないということなのかもしれません。 ところで、以前の記事でも少し書きましたが、現在、毎週1回のペースでThe Dairy NNA アジア総合版に「切手から読み解くインド」というコラムを連載しています。今回ご紹介のネタの完全版を含め、インド関連のできるだけタイムリーな話題を切手を絡めて書くようにしていますので機会がありましたら、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! 『年賀切手』 日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込) 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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