今日は7月4日。いわずと知れたアメリカ合衆国の建国記念日です。
アメリカという国が作られていく過程で、白人による西部開拓で、ネイティブ・アメリカン(いわゆるアメリカ・インディアン)が居留地に押し込められて苦境に追いやられたことは周知の通りです。近年、世界的な人権・環境保護の意識が高まったことで、アメリカ政府は過去の搾取への補償と土地返還などを求められていますが、その対応は必ずしも十分とはいえないようです。
一方、いわゆるインディアンの側でも、白人社会に対する反応はさまざまですが、中には、既存のアメリカ社会に激しい敵意をあらわにしているグループもあります。その代表的なものが、1973年、ウーンデッド・ニー占拠事件を起こしてアメリカ政府軍と戦ったアメリカン・インディアン・ムーブメント(AIM)でした。
で、そのAIMの中心人物としてFBIからマークされ、1977年にネイティブ・アメリカン居住区で起きたFBI捜査官の殺人事件の容疑者として逮捕され、現在も獄中にあるのが、レオナード・ペルティエです。ただし、ペルティエの逮捕に関しては、アメリカ国内でも証拠が不十分な上、裁判が公正に行われていないというとの批判も少なくなく、議論の的になっています。いずれにせよ、現代のアメリカ社会で、ネイティブ・インディアンの問題が語られる時、ペルティエのことは避けて通れない話題となっているようです。
さて、そうしたペルティエの存在は、アメリカン人種差別を糾弾しようという側からすれば、格好の素材となっているわけで、たとえば、東西冷戦下の1985年、当時のソ連は、学生たちに、↓のようなカバーを組織的に差し出させています。
カバーには、4000万人を超えるソ連の若者が、“アメリカ・インディアンの権利を求める闘士”ペルティエの解放を求めている旨の英語の文面が貼り付けられています。宛先は、ホワイトハウスで、おそらく、同種の内容の手紙(学校などで組織的に作られたものでしょう)が同封されていたものと思われます。
アメリカの切手の中にはネイティブ・アメリカンを題材にしたモノもないわけではないのですが、当然のことながら、それらはアメリカ社会の暗部を記録したものとはなっていません。そこで、搦め手的なアプローチですが、ネイティブ・アメリカンの問題を切手や郵便物から語るための素材としては、こんなモノもあるんだよ、という意味で、このカバーをご紹介してみました。
なお、アメリカの人種差別を告発するソ連のプロパガンダに関しては、ちょうど一月前、6月4日の日記 もあわせてご覧いただけると幸いです。
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