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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 新年快樂 身體健康
2021-02-12 Fri 00:44
 きょう(12日)は旧正月・春節です。というわけで、丑年の正式なスタートですから、こんな1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      マライ・新生マライ2周年

 これは、1943年2月15日、日本占領下の“マライ”で発行された“新生マライ2周年”の記念切手で、日本占領地域の地図を背景に、太陽の下の水牛農耕の風景が描かれています。ちなみに、日本占領下の“マライ”は、現在はマレーシアとシンガポールにまたがっていますが、両国ともに、きょう・あす(12・13日)の2日間が春節の休日になっています。

 真珠湾攻撃よりも1時間20分前の1941年12月8日午前1時30分(日本時間)、佗美浩少将率いる第18師団佗美支隊がマレー半島のコタバルに上陸を開始し、いわゆる太平洋戦争の最初の戦闘が行われます。その後、日本軍は12月中にクランタン、トレンガヌ、クダープルリスペナンの各州を制圧し、翌1942年2月15日のシンガポール陥落によってマレー半島全域を制圧しました。

 今回ご紹介の切手は、シンガポール陥落によってマレー半島から英国が駆逐されたことをもってマレーの“新生”とし、その2周年を記念して発行されました。製造は、やはり日本軍の占領下にあったジャワのコルフ印刷会社です。

 なお、1943年5月31日の御前会議で決定された「大東亜政略指導大綱」では、“対泰方策”として、①相互協力ノ強化、②マライ失地回復、③国境ノ調整などの方針を決定したうえで、「マライ」については「帝国領土ト決定シ重要資源ノ供給源トシテ極力之ガ開発竝ニ民心ノ把握ニ努ム」としており、これを受けて、8月20日、「『マライ』及『シャン』地方ニ於ケル『タイ』国領土ニ関スル日本国『タイ』国間条約」が調印されます。この条約にしたがい、10月19日、日本軍の占領下にあったマライ北部のクダー、クランタン、トレンガヌ、プルリスの4州がタイに返還され、マレー半島の残りの旧英領部分は終戦まで日本軍の占領下に置かれました。

 第二次大戦後、日本軍はマレー半島から撤退し、タイに割譲された4州は英国に返還されます。英国は植民地支配の再開にあたって、シンガポールを除くマレー半島をすべてマラヤ連合として統合しようと考えます。このときのマラヤ連合の構想では、スルターンの権限を縮小し、各州に配置される英国人知事が行政を担当することになっていたほか、中国系やインド系を含むすべての人種に平等な市民権を与えるなどの方針となっていました。

 ところが、人口的には多数派を占めていながら、経済的には少数派の華人の後塵を拝し続けてきたマレー人は、英国の提案した“平等”に猛反発。このため、一応、1946年にマラヤ連合は発足したものの、英国は翌1947年にマラヤ連合との間でマレー人の特権を認める連邦協定を結び、1948年にマラヤ連邦が発足。その後、英国との交渉で独立の確約を得たトゥン・アブドゥル・ラーマン初代首相は、1956年2月20日、マラッカでマラヤ連邦の独立を宣言し、各種の手続きを経て、1957年8月31日、マラヤ連邦の独立が正式に承認されました。

 こうして発足したマラヤ連邦は、旧宗主国である英国の支援の下、1963年9月15日、シンガポールとボルネオ島北部の英領地域(サラワクブルネイノース・ボルネオ)を併合したマレーシア連邦を結成しましたが、その後の華人とマレー人の対立から、1965年にはシンガポールが追放同然の形でマレーシアからの分離独立。現在のマレーシア国家の枠組が完成しました。


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 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は
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