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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ラバウルで戦没者追悼式典
2020-08-16 Sun 02:36
 終戦の日の昨日(15日)、先の大戦中の激戦地、ラバウルで戦没者追悼式典が開かれました。ラバウルで日本の終戦の日に式典が開かれるのは、戦後75年を経て、今回が初めてだそうです。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      パプアニューギニア・ラバウル(1963)

 これは、1963年2月13日、オーストラリア委任統治領時代のパプアニューギニア自治政府が発行したラバウルの風景の切手です。
 
 ラバウルは、パプアニューギニア・ニューブリテン島のガゼル半島東側、シンプソン湾に面した港湾都市で、1884年から1914年までの間、ドイツ領ニューギニアの一部として、シンプソン湾にちなんでシンプソンハーフェンと呼ばれていました。

 第一次大戦勃発後まもない1914年9月12日、ラバウルはオーストラリア軍に占領され、戦後はオーストラリアの委任統治領となり、近郊のブナカナウには飛行場が設けられました。

 1939年9月に第二次欧州大戦が勃発すると、1941年3月、オーストラリアは対日戦争をにらんでブナカナウ飛行場を防衛するため、ジョン・スカンラン中佐の指揮下に1400名のオーストラリア陸軍守備隊“雲雀部隊”を配置します。ラバウルは、日本海軍の基地があったトラック(テューク)諸島にも近く、オーストラリアは同飛行場を日本軍の行動を監視拠点としていたからです。もっとも、雲雀部隊の装備は決して十分なものではなく、現地のオーストラリア空軍兵力は、わずか10機の訓練用軽飛行機と4機のハドソン爆撃機しかなく、日本軍の本格的な攻撃が開始されれば持ちこたえるのは難しいのが実情でした。

 一方、日本側は、日米開戦となれば、トラックに近いラバウルが連合軍の反撃拠点となることを予想するとともに、ニューブリテン島の港湾施設(水深が深く、大型船の停泊が可能であった)と飛行場を確保すれば、米豪の連絡を遮断できると考えていました。ただし、この方面の作戦を担当する日本海軍の南洋部隊は、ラバウルだけを占領しても役にたたず、同地確保のためさらに前方の要地(パプアニューギニア、ソロモン諸島)を攻略すべきと考えていました。

 はたして、1941年12月の日英開戦を経て、1942年1月4日、日本海軍の南洋部隊がラバウル空襲を開始。1月20日には南雲機動部隊の空母4隻(赤城、加賀、瑞鶴、翔鶴)から発進した航空隊計109機がラバウルを空襲してオーストラリア軍基地を破壊し、1月22日には第144連隊を中心とした5000人の部隊がニューブリテン島に上陸してラクナイ飛行場を攻略しました。このため、オーストラリア軍の兵士と民間人は中隊規模の小集団に分かれてジャングルの中に撤退し、ラバウル攻略戦はほぼ終了し、1月24日、大本営はラバウルとカビエンの占領を発表。日本軍は、ただちにラバウル航空基地の設営作業が開始しました。

 これに対して、オーストラリアはニューギニア島のポートモレスビーを拠点にラバウルへの空襲を開始したものの、日本側は陸海軍合わせて9万余の大軍を配置し、1945年8月の終戦までラバウルを維持し続けました。

 1975年のパプアニューギニア独立後、ラバウルは東ニューブリテン州の州都となりましたが、1994年、近郊のタブルブル火山とブルカン火山の同時噴火によって、切手に描かれた旧市街地は大きな降灰被害を受けたため、南東のココポの町に空港と州政府の機関は移転を余儀なくされました。

 昨日の式典は、新型コロナウイルスの影響で戦没者の遺骨収集事業などが延期される中、慰霊の取り組みを続けようと現地在住の日本人らが呼びかけて実現したもので、ラバウル市長ら約50人が出席し、1980年に日本政府が建立した“南太平洋戦没者の碑”の前での黙祷と献花が行われました。今後は、5年ごとの式典開催が計画されているそうです。

 さて、現在、第二次大戦中の激戦地として知られる“ガダルカナル”にフォーカスを当てた本を作っています。内容は、戦史よりも、戦後のガダルカナルが中心で、すでに、本文の原稿は書き終え、現在、書籍としてまとめる作業を進めているところです。正式な書名や発売日などが決まりましたら、このブログでもあらためてご案内いたしますので、よろしくお願いします。 


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