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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ブラジル大統領は陰性
2020-03-14 Sat 03:02
 先週、トランプ米大統領と会談したブラジルのボウソナーロ大統領の新型コロナウイルス感染が確認されたと一部メディアが報道していた問題で、ボウソナーロ大統領は、きのう(13日)、自身の検査結果が陰性だったことを明らかにしました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ブラジル・ブラジリア遷都50年(水浴像)

 これは、2010年にブラジルが発行した“ブラジリア遷都50周年”の記念切手のうち、アルダヴォーラ宮(大統領官邸)内の池の前に設置されている“水浴像”を取り上げた1枚です。

 ブラジルは、1822年の独立当初から、リオデジャネイロやサンパウロなどの大都市が存在する大西洋沿岸部に人口や産業が集中しており、内陸部との格差が大きかったため、はやくも、共和革命後の1891年憲法第3条では、首都を中央高原に移すべきことが明記されていました。しかし、実際には、度重なる政変や二度の世界大戦などにより、具体的な遷都改革はなかなか進みませんでした。

 1956年に当選したジュセリーノ・クビチェック大統領は、大西洋岸に大都市が集中している現状を打開するとして、1958年、内陸の未開の土地に新首都ブラジリアを建設し、リオデジャネイロから遷都することを発表。ブラジル政府が国の内外に呼びかけて募集した26の設計案の中から、ルシオ・コスタのプランが選ばれます。ここに、ニューヨークの国連ビルの設計者の一人として知られるオスカー・ニーマイヤーの設計による国会議事堂、大統領官邸などの主要公共建築が建設され、1960年4月21日から新首都としての供用が開始されました。

 ニーマイヤーの設計した大統領官邸は、ブラジリア市の機軸部分“プラノ・ピロット”の建設に先立ち、1958年、パラノア湖畔に建設されました。市街地を飛行機型に見立てると、機首部分から少し東の場所に位置しています。今回ご紹介の切手に取り上げられている水浴像は官邸の池の前に設置されているもので、女性が濡れた髪を手櫛で梳いている姿を表現したもの。作者は、ブラジルを代表する造形作家、アウフレッド・セシアッチです。

 さて、今回の騒動の発端は、今月7日から10日まで、ボウソナーロ大統領が訪米した際、随行した大統領府社会通信局のファビオ・ワインガルテン局長が、トランプ大統領所有のリゾート施設“マーアーラゴ”でトランプ大統領と会談後、インフルエンザに似た症状を訴え、検査を行ったところ新型コロナウイルスの陽性反応が出たことにあります。

 その後、ボウソナーロ大統領も検査を受けるとともに、経過観察の対象として、感染拡大を防ぐため12日の予定をキャンセルし、官邸に籠っていたところ、一部メディアが大統領本人も感染と報じ、そこから、トランプ大統領とホワイトハウスも危ないのでは…と、騒ぎが大きくなったものです。

 結局、検査の結果、ボウソナーロ大統領本人は陰性であることが確認され、騒動にも幕となったわけですが、大統領からすれば、そうしたメディアの関係者は、センセーショナルな話題を求めてパニックを煽るのではなく、報道の前に、まずは水浴びでもして頭を冷やしてこい!と言いたいところでしょうな。


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