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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 中国、海外旅行を事実上禁止
2020-01-26 Sun 02:23
 中国政府は、きのう(25日)、新型肺炎の拡散を防止するための移動制限措置の一環として、27日以降、国民の海外旅行を事実上禁止することを決定しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)

      ロシア・ソチ観光(2011・スキー場・中国語)

 これは、2011年、2012年のソチ五輪を前にロシアが発行したソチ周辺の観光宣伝切手のうち、五輪会場にもなったクラースナヤ・ポリャーナのスキー・リゾートを取り上げた1点で、右側には、中国語の説明文が印刷されたタブが付けられています。

 2011年のロシアの観光宣伝切手は、五輪開催地のソチとその周辺の観光地4ヶ所を取り上げ、それぞれ、英仏独西露中の各国語での説明文を記したタブとの連刷形式で発行されました。このうち、中国語に関しては、香港・マカオ・台湾や東南アジアなどで使用されている繁体字ではなく、大陸で使用されている簡体字表記になっており、ロシア当局が中国人観光客の誘致に力を入れていたことがうかがえます。

 1949年の中華人民共和国建国後、中国人の海外渡航はながらくビジネス、留学、親戚訪問の身に制限されていましたが、1997年、団体旅行が解禁されました。ちなみに、個人の海外旅行に関しては、中国政府と相手国政府とが承認した国への渡航が可能で、日本への個人旅行に関しては、2000年に北京市、上海市、広東省の住民を対象に観光ビザの発給が始まり、2005年以降、中国全土の住民が対象となりました。

 一時期、日本でも話題になった“爆買い”など、旺盛な消費意欲で知られる中国人観光客ですが、それは一定以上富裕層の話で、貧富の差が激しい中、無制限な海外旅行を許可すると、低所得層が大挙して出国し、帰国せずに現地で不法就労する可能性が高いとされています。このため、一般の中国国民にとっては、団体ビザ以外の観光ビザの取得は必ずしも容易ではなく、その結果、旅行の形態としては、団体パック旅行もしくは旅行会社が航空券とホテルだけを手配する個人旅行(=団体旅行のばら売り)が中心となっており、旅行業者は多額の保証金を預け、旅行者が失踪した場合には保証金が没収され、その旅行会社主催のツアーへのビザ発給も禁止されることになっています。

 さて、人民日報の日本時間26日午前0時時点の集計によると、中国本土の感染者は1367人、死者は41人、重症者は200人以上となっており、24日以降、フランスやオーストラリア、マレーシアでそれぞれ初の感染者が確認されたことで、中国本土以外で感染者が出た国・地域は13になりました。このため、中国政府としては、国民を出国させないことで、新型肺炎のこれ以上の拡散を防ぐため、24日から国内の団体旅行業務を停止していましたが、27日以降は海外旅行も、旅行会社が関与しない個人旅行を除き、停止に踏み切ったというわけです。

 ただし、既に出発したツアーについては、旅行者の健康状況に注意しながら継続するとのことですから、おとといから始まったとされる春節休暇中の“民族大移動”により、今後も新型肺炎が日本を含む各国に拡散していく可能性は否定できません。

 一方、こうした中国側の動きを受けて、米政府も、26日にも230人乗りのチャーター便を運航し、米国総領事館に勤務する外交官を含む武漢市在住の米国民とその家族などを避難させるほか、ロシアも、武漢市から自国民を退避させるため中国側との調整を進めているとか。武漢市とその周辺では、昨年10月の時点で156社の日系企業が活動していることですし、日本政府にも、そうした在留邦人の保護・救出のため、一刻も早く行動を起こしていただきたいものです。

      
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