2016-11-15 Tue 11:11
1956年11月15日、(第一次)国際連合緊急軍(UNEF I :UNITED NATIONS EMERGENCY FORCES I)の展開が開始されてから、今日でちょうど60年です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1964年3月28日、スエズ地域に展開していたUNEF I のブラジル部隊からブラジル本国宛に差し出された軍事郵便で、国連マークとUNEF表示の機械印が押されています。 1956年7月26日、エジプト大統領のガマール・アブドゥンナーセル(ナセル)は、年間1億ドルのスエズ運河の収益をアスワン・ハイダム建設の資金に充てるべく、運河の国有化を宣言し、管理会社である国際スエズ運河株式会社を接収して全資産を凍結しました。いわゆるスエズ運河国有化です。 これに対して、スエズ運河株式会社の株主であった英仏は激怒し、エジプトの宿敵、イスラエルと同調して、運河国有化の阻止を計画。10月29日、イスラエル軍がシナイ半島侵攻作戦を開始し、第2次中東戦争(スエズ動乱)が勃発しました。 英仏はエジプト・イスラエルがともにスエズ運河地帯から撤退することを要求し、エジプトがこれを拒否すると、英落下傘部隊がポートサイド(スエズ運河の地中海川の出口)を急襲したものの、米ソを含む国際社会の厳しい非難を浴び、11月2日、関係国への停戦とスエズ運河通航の再開を求める国連総会決議997が採択されました。その後、11月4日から7日にかけて採択された総会決議998、1000、1001により、停戦の監視と英仏イスラエルのエジプト領内からの撤退確認のためにUNEF I が設立されます。そして、11月8日の停戦を経て、11月14日にはエジプトの合意が得られたことから、11月15日からUNEF I の展開が開始されました。 UNEF I の人員の一部は、国際連合休戦監視機構(UNTSO)から引き抜かれたほか、中東地域に直接の利害を有しなかったブラジル・カナダなどから提供された人員で構成されていました。UNEFの最大人員規模は約6,000名で、1956年12月に英仏が、1957年3月にはイスラエルが1949年の休戦ラインまで撤退した後も、エジプト=イスラエル国境のエジプト側に展開。1967年にエジプトの要求で撤兵するまで、停戦監視を続けました。 ちなみに、リオデジャネイロのフラメンゴ公園内にある戦没者慰霊塔の地下には、下の画像のように、UNEF I に参加したブラジル軍部隊を称えるプレートも置かれています。 なお、このプレートがあるフラメンゴ公園内の戦没者慰霊施設については、拙著『リオデジャネイロ歴史紀行』でも詳しくご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ 講座のご案内 ★★★ 11月17日(木) 10:30-12:00 毎日文化センターにて、1日講座、ユダヤとアメリカをやりますので、よろしくお願いします。(詳細は講座名をクリックしてご覧ください) ★★★ ブラジル大使館推薦! 内藤陽介の『リオデジャネイロ歴史紀行』 ★★★ 2700円+税 【出版元より】 オリンピック開催地の意外な深さをじっくり紹介 リオデジャネイロの複雑な歴史や街並みを、切手や葉書、写真等でわかりやすく解説。 美しい景色とウンチク満載の異色の歴史紀行! 発売元の特設サイトはこちらです。 * 8月6日付『東京新聞』「この人」欄で、内藤が『リオデジャネイロ歴史紀行』の著者として取り上げられました! ★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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