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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 世界漫郵記:リオデジャネイロ①
2016-03-01 Tue 11:23
 『キュリオマガジン』2016年3月号が出来上がりました。ことしは8月にリオデジャネイロ五輪があるということで、2014年3月以来、2年ぶりに僕の連載の「郵便学者の世界漫郵記」を復活させ、その“リオデジャネイロ(以下、リオ)篇”をお届けすることになりました。今回はその1回目ということで、「ポン・ヂ・アスーカルを通ってリオに入る」というテーマで書いてみましたが、その記事の中から、この1点をご紹介します。(以下、画像はクリックで拡大されます)

      ツェッペリン・リオ宛  

 これは、1930年5月、ドイツの飛行船、グラーフ・ツェッペリンによって運ばれたリオ宛のカバーで、ポン・ヂ・アスーカルの上空を飛ぶ飛行船を描くカシェが押されているのがミソです。切手に押されている消印は、ドイツ・フリードリヒスハーフェンの1930年5月18日付で、裏面には、5月25日付のリオの着印が押されています。ちなみに、上の画像ではカシェが宛名にかかっていて少し見づらので、カシェそのものを描き起こした画像を下に貼っておきます。

       ツェッペリン・リオ宛カシェ

 さて、リオデジャネイロという地名は、もともと、ポルトガル語で“1月の川”の意味です。

 1498年、ヴァスコ・ダ・ガマのポルトガル艦隊がインド航路を開拓したことを受けて、ポルトガル王マヌエル1世は、1500年2月15日、ペドロ・アルヴァレス・カブラルを長とする第2次インド遠征隊を派遣します。ところが、カブラルの艦隊は予定の航路を大きく外れてブラジルに漂着してしまいました。これが、ヨーロッパ人によるブラジルの“発見”と言われている出来事です。

 続いて、1502年1月、ガスパール・デ・レモス率いるポルトガルの艦隊が、今度は明確に南米大陸を目指す意図をもってブラジルに到達します。一行が到達したグアナバラ湾は、湾口がぐっと狭まっているため、彼らはここを川と勘違いしました。そして、到着したのが1月だったことから、河口の一帯を“1月の川”、すなわちリオ・デ・ジャネイロと命名したのです。

 グアナバラ湾は面積400平方キロ、周囲143キロの大きな入り江で、湾内には国際空港のあるゴベルナドール島や観光地パケター島など113の島がありますが、その入口の幅はわずか1.5キロほどしかありません。

 湾内とその周辺には、気の遠くなるような年月をかけて浸食された巨大な奇岩がところどころにそびえ立ち、独特の景観を作り出していますが、なかでも、湾口西側の岬にあるポン・ヂ・アスーカルは、リオのシンボルとして特別な意味を持っており、切手や絵葉書などにも、幾度となく取り上げられてきました。

 かつての米国への入国者にとっての自由の女神がそうだったように、グアナバラ湾の入口にそびえ立つポン・ヂ・アスーカルは、長い船旅の後、船客たちがリオにたどり着いたことを実感するための標識でもありました。その後、交通手段は船から飛行機へと変化しますが、1952年にリオ北郊にガレオン国際空港(現アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港)が完成するまでは、リオの市内中心部からも近いサントス・ドゥモン空港がブラジルの空の玄関となっており、人々はポン・ヂ・アスーカルを見下ろしながら、ブラジルの地に降り立つというのがお約束でした。だから、ある時代までの航空切手初飛行カバーにも、リオの象徴としてポン・ヂ・アスーカルを取り上げたモノが少なくありません。

 今回ご紹介のカバーもその一例ですが、この時のツェッペリン飛行は、1930年5月18日、ドイツのフリードリヒスハーフェンを出発し、スペインのセヴィーリャ(セビリア)を経由して大西洋を渡り、5月22日、ブラジル北東部の港湾都市レシフェに到着。そこから、リオに向かいました。5月25日のリオ到着後は、北上して米ニュージャージー州のレイクハーストを経て、大西洋を渡ってセヴィーリャ経由でドイツに帰還しています。ちなみに、この時のフライトに合わせて米国が発行したのが、有名なツェッペリンの航空切手です。

 なお、現在でも、サントス・ドゥモン空港はブラジルの国内線用に利用されていますので、ポン・ヂ・アスーカルの上空を飛ぶ飛行機という構図は、現地の人にとってはおなじみの光景となっています。ついでですので、そうした風景の写真も下に貼っておきました。

       ポン・ヂ・アスーカルと飛行機


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