2013-01-02 Wed 11:28
香港できのう(1日)、昨年7月に就任した行政長官・梁振英の辞任を求める“元旦デモ”があり、主催者発表で13万人が参加。一部は英領時代の旗を振りながら、香港島の中心街を政府庁舎前まで行進したそうです。というわけで、彼らに敬意を表して、英領香港時代のこんなモノを持ってきました。
これは、1989年1月18日に発行された己巳年の年賀切手の切手帳のペーンとその表紙で、竹林のヘビを描く60セント切手と、梅の枝にとまるヘビを描く1ドル80セント各5枚が連刷形式で収められています。売価は額面通り12ドルです。ちなみに、香港で年賀切手の切手帳が発行されたのは、この時が最初でした。 さて、今回のデモは10代から70代までの幅広い男女が参加し、「梁振英は辞任せよ」、「普通選挙の実施を(ちなみに、行政長官の選挙は職能団体の代表1200人の投票によるものです)」と声をあげ、参加者が掲げるプラカードには、不動産価格の高騰を批判する言葉のほか「うそつき」「地下共産党員だ」とかきこまれた梁の似顔絵が多く見られたそうです。 昨年、3月に行われた行政長官選挙では、当初、親中派で前政務官の唐英年が本命視されていましたが、中国政府の後押しを受けた梁が当選を果たしました。梁が逆転することになった決め手は、中国政府による選挙干渉もさることながら、唐の自宅に違法建築があることが発覚したことについて、梁が「リーダーには誠実さが必要だ」と攻撃したことが大きな決め手になったといわれています。ところが、7月に梁が行政長官に就任した直後、梁の自宅にも違法建築があったことが発覚。このことが香港市民の強い反発を招き、梁の支持率は低迷が続いています。 ちなみに、今回ご紹介の切手にも描かれている竹と梅は、日本では縁起物の松竹梅の一部というイメージが強いのですが、もともとは、宋代に始まった“歳寒三友”と呼ばれる文人画の画題で、松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開くことから、清廉潔白や節操など、文人の理想を表現したものという意味がありました。その意味でも、不誠実と市民の反感を買っている梁に抗議するための巳年の“元旦デモ”にピッタリの題材と言えるかもしれません。 なお、英領時代の香港とその歴史については、拙著『香港歴史漫郵記』でも詳しくまとめておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 【世界切手展BRASILIANA 2013のご案内】 僕が日本コミッショナーを仰せつかっている世界切手展 <BRASILIANA 2013> の作品募集要項が発表になりました。国内での応募受付は2月1―14日(必着)です。詳細はこちらをご覧ください。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどで好評発売中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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