2019-11-23 Sat 02:44
きょう(23日)は勤労感謝の日(もともとは収穫を祝い、翌年の豊穣を祈願する新嘗祭の日)です。というわけで、農家の方々に感謝して、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1940年7月19日、アウシュヴィッツからニーダーザクセン州のヴォルフェンビュッテル宛に差し出された軍事郵便絵葉書で、絵面に取り上げられたピョトゥル・スタヒェヴィチの絵画「ポドレ(南部ポーランドのレッサーポーランド県の村)の花嫁」には、収穫を前にした麦畑を背景とする花嫁が描かれています。 なお、この葉書には、親衛隊を示す“SS”の表示がないことに加え、収容所からの発信を扱ったアウシュヴィッツ2局ではなく、アウシュヴィッツ域内で収容所以外からの発信を扱ったアウシュヴィッツ1局の印が押されていますので、おそらく、収容所を管理していた親衛隊員ではなく、アウシュヴィッツないしはその近郊に駐屯していた国防軍の占領部隊の兵士が差し出したものでしょう。 絵葉書は、1939年9月にドイツがポーランドを占領する以前にクラクフで印刷されたものです。絵の作者、スタヒェヴィチは、1858年、ハプスブルク支配下のポジーリャ(現在はウクライナ領)に生まれ、1938年にクラクフで亡くなったポーランド人画家で、この絵葉書に見られるように、南ポーランドの伝統文化に題材をとった美人画を数多く残しています。 ドイツ占領下のポーランドでは非スラブ化政策が推進されており、占領当局としては、スタヒェヴィチを“好ましからざる画家”と認定していたはずですが、実際には、兵士たちの間ではローカルな美人画は人気があったようで、この葉書に見られるように、将兵が軍事郵便に使用することは黙認されていました。 ちなみに、昨日(22日)からアマゾンでも取り扱いが始まった拙著『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』では、収容者の通信に加え、関連する軍事郵便についてもいろいろご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひ、お手に取ってご覧いただけると幸いです。 * 昨日(22日)の文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」の僕の出番は、無事、終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。なお、次回の出演は12月13日の予定(仮)ですので、引き続き、よろしくお願いします。 ★★ 講座のご案内 ★★ 12月以降の各種講座等のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。 ・よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 毎月第1火曜日 15:30~17:00 12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可) ・東アジア歴史文化研究会 12月12日 18:30~ 於常圓寺祖師堂ホール 朝鮮半島現代史の“原点”についてお話しします。 詳細は、主催者(東アジア歴史文化研究会)まで、メール(アドレスは、e-asia★topaz.ocn.ne.jp スパム防止のため、ここでは、★を@に変えています)にてお問い合わせください。 ・日本史検定講座(全8講) 12月13日(日)スタート! 内藤は、全8講のうち、2月20日の第6講に登場します。 ・武蔵野大学生涯学習秋講座 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年― 2019年12月15日(日) (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 ) ★ 最新作 『アウシュヴィッツの手紙 改訂増補版』 11月25日発売!★ 本体2500円+税(予定) 出版社からのコメント 初版品切れにつき、新資料、解説を大幅100ページ以上増補し、新版として刊行。独自のアプローチで知られざる実態に目からウロコ、ですが淡々とした筆致が心に迫る箇所多数ありです。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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