2019-07-12 Fri 00:15
あす(13日)から、東京・錦糸町のすみだ産業会館で、日本・ポーランド国交樹立100周年の記念事業として、駐日ポーランド共和国大使館ならびにポーランド広報文化センターのご後援の下、ポーランド切手展(全日本切手展=全日展と併催)が開催されます。(以下、画像はクリックで拡大されます)
左の画像は、今回のポーランド切手展の会場内で使われる小型印で、1964年に発行された“笑う猫”の切手をモチーフにしています。切手の原画作者ヤーヌシ・グラビアンスキーは、1929年7月27日、ポーランドのシャモトゥウィ生まれ。ワルシャワ美術学校を卒業後、動物の絵で認められ世界的な人気挿絵画家・絵本作家として活躍しましたが、1976年に亡くなりました。今回の全日展会期中、第2会場となる押上の郵政博物館では、ファミリーイベントとして、「猫のダヤンのなぞとき迷路」も開催されていますので、あわせてご参観いただくのも一興かもしれません。 さて、今回のポーランド切手展は、「ポーランドの歴史とその郵趣」と題して、ポーランドの切手・郵便史のコレクションとしては世界有数の質・量を誇る山本勉コレクションのエッセンス8フレームを中心に構成されています。その目玉の一つとなっているのが、下の画像のマテリアルです。 これは、ポーランド最初の切手の原画スケッチ(の一部)です。 1795年、ポーランドの地はロシア帝国、プロイセン王国、オーストリア帝国により分割されましたが、ナポレオン戦争後の1815年、ロシアの支配地域では、ロシア皇帝が国王を兼ねるポーランド立憲王国が樹立されます。 1857年、ロシアで最初の切手が発行されると、ポーランド立憲王国でも切手の発行が検討されるようになり、1859年、立憲王国当局は、ポーランド銀行の彫刻家、ヤン・ミュンハイマロフに切手と切手つき封筒のデザイン制作を依頼。これを受けて、当時のロシア切手に倣い、ロマノフ家の紋章である双頭の鷲を中心にした原画が制作されました。上の画像はその切手の部分をトリミングしたもので、今回の会場には、切手つき封筒のデザインを含む原画スケッチの全体像が展示されています。 このスケッチを基に制作された切手(下の画像)は、1860年1月1日に発行されました。ただし、当日は日曜日だったため、実際にはこの切手が使用されたのは、翌2日からとなっています。 なお、今回会場に展示されるスケッチは、ロシア帝国時代は、サンクトペテルブルクの宮廷資料室に保管されていたもので、その後、何人かのコレクターを経て、日本に渡りました。本国ポーランドでは一度も展示されたことがない珍品ですので、ぜひ、この機会に会場で実物をご覧ください。 ★★★ 全日本切手展のご案内 ★★★ 7月13-15日(土-月・祝) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびにポーランド切手展が開催されます。全日本切手展のフェイスブック・サイト(どなたでもご覧になれます)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。 *画像は実行委員会が制作したポスターです。クリックで拡大してご覧ください。 ★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★ 本体3900円+税 【出版元より】 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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