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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 香港・元朗で無差別テロ
2019-07-22 Mon 12:11
 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案などへの大規模な抗議デモが毎週末行われている香港で、きのう(21日)、白いシャツを着た男の集団が中国との国境にも近い新界地区の地下鉄・元朗駅でデモ参加者と見られる乗客を襲撃するテロ事件が発生。少なくとも36人が負傷し、うち4人が重傷、1人が重態となっています。というわけで、卑劣なテロリストの逮捕と負傷者の方々の御快癒をお祈りしつつ、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      香港・元朗(UN LONG)

 これは、1952年5月5日付の元朗局の消印が押された香港切手のオンピースです。

 元朗は深圳河を挟んで深圳の南に位置する平野部で、約3500年前から人々が生活していた痕跡があります。宋代には、後の“新界五大氏族”のうち、鄧氏と文氏が、元朗内の錦田、屏山、廈村、新田に移住。このため、元朗には清代以前の古い建物や寺廟など多く残されています。

 また、土地が肥沃なため、かつては稲作が盛んに行なわれており、1950年代には、地元産のコメ“元朗絲苗”が中国南部を代表するブランド米の一つでした。

 現在の行政上の元朗区は、深圳河以南、洲頭を東端、洪水橋を南端とする138.56平方キロのエリアで、面積としては、 離島区と大埔区に次いで大きく、九龍の3倍、香港島の1.8倍あります。

 元朗の郵便局は1934年12月6日の開局で、当初は、青山公路の新市場に面した位置にありましたが、1966年1月17日付で理民府(地域の行政を管轄する機関)の庁舎内に、さらに、1983年4月11日付で壽富街の現在の位置に移転しました。当初、局名表示は、今回ご紹介のモノのように“UN LONG”でしたが、1957年2月9日、“YUEN LONG”に変更されて現在に至っています。
 
 さて、近年、元朗区は大陸からの移民の増加などもあって人口が急増していますが、その副作用として、貧困率も16%と高率で、香港で最も犯罪率の高い区にもなっており、反社会勢力の拠点の一つになっています。

 はたして、昨日の襲撃事件でも、犯罪組織“三合会”の関係者とみられる白シャツ姿の男約30人が、午後10時頃、突如、地下鉄車両に乱入し、デモ参加者が着用することが多い黒の服装をした人々を中心に、棒や傘で乗客を襲撃。さらに、彼らは暴力から逃れようとホームに上がっている人々も攻撃したほか、改札前では待ち伏せの襲撃も行われました。この襲撃事件では、民主派の林卓廷立法会議員も負傷しています。

 この間、現場にいた警察官は、事実上、襲撃に対して“見て見ぬふり”をしていたたでけなく、応援の警官隊が現場の元朗駅に到着したのは事件発生から30分後で、すでに、犯行グループは退散していました。さらに、襲撃事件の発生直前、親中派の警察支持集会で司会も務めた親中派議員、何君堯が白シャツ姿の男たちと握手して回っているのが多くの人に目撃されています。

 こうした証言を組み合わせて考えてみると、今回の襲撃事件は白シャツの男たちが自発的に起こしたのではなく(そもそも、彼らが地下鉄の乗客を無差別に襲うメリットは何もありません)、その背後に、中国政府ないしはその意を汲んだ親中派の影が見え隠れしていると感じるのは僕だけではないはずです。


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