今週水曜日、11日から、東京目白の“切手の博物館”で<中近東切手コレクション展>を開催します。というわけで、今日から何回かに分けて、その予告編として、会場で展示する切手やカバー(封筒)の中から、ご興味を持っていただけそうなものをご紹介して行こうかと思います。
第1回目の今日は、まずこんなものからご紹介してみましょう。
画像(クリックで拡大されます)は、1926年に発行されたイエメン最初の切手が貼られたカバーです。
第一次大戦以前、イエメン北部はオスマン帝国の支配下に置かれていましたが、第一次大戦で敗れたオスマン帝国がこの地を撤退すると、1918年、現地のザイド派(シーア派の一派)指導者であったイマーム・ヤフヤーを首長としてイエメン・ムタワッキル王国の独立を宣言します。その後、ヤフヤーは1930年代に北イエメン全域を征服します。
その過程の1926年に発行された最初の切手は、イエメンで成人男性の証であるジャンビーヤとよばれる短剣を交差させ、その間に“ムタワッキル・イスラム政府”の文字を枠で囲んだデザインとなっています。また、切手の上部にはサナアの文字が、右下には、為政者“ヤフヤー”の名前が記され、左下には“(ヤフヤーに対する)神の庇護”を意味するアラビア語が記されています。
サナアといえば、世界遺産にも登録された中世そのままの街並みが残る都市ですが、この切手や押されている消印も、そうした土地柄をしのばせる素朴な味わいが見る者を楽しませてくれます。
ぜひとも、11日からの<中近東切手コレクション展>にお運びいただき、実物をじかにご覧いただければ、と思っております。