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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 『郵趣』今月の表紙:牛の目
2007-10-27 Sat 09:44
 (財)日本郵趣協会発行の『郵趣』2007年11月号ができあがりました。『郵趣』では、毎月、表紙に“名品”と評判の高い切手を取り上げ、僕が簡単な解説文をつけていますが、今月は、こんなモノを取り上げました。(画像はクリックで拡大されます)

牛の目

 これは、1843年に発行されたブラジル最初の切手の1枚です。ブラジルの切手発行は、1840年のペニー・ブラック以来、国としては世界で2番目(州などを入れると4番目)で、このとき発行された切手は“牛の目”の名で親しまれています。

 1822年にポルトガルから独立したばかりのブラジルは急速な近代化政策を進め、はやくも1829年には郵便事業を国営に一本化しました。そして、1842年にはイギリスに倣った料金前納制が布告され、これに対応すべく、パーキンス・ベーコン社のリオ代理店に切手の製造と印刷機材が発注され、翌1843年8月1日に最初の切手が発行されました。原版の彫刻はブラジル造幣局、印刷は輸入したばかりの新機材で有価証券印刷局が担当しています。

 額面数字のバックには、紙幣の偽造防止にも使われる機械彫刻の模様、彩紋が使われています。画像ではわかりにくいかもしれませんが、実物の切手の大ぶりで楕円形の彩紋を見ていると、たしかに、動物の目を覗き込んでいるような錯覚にとらわれてくるから、不思議なものです。

 なお、初期のブラジル切手のパターンは、この切手のように彩紋と額面数字を組み合わせたものですが、1843年発行のこの切手が“牛の目”と呼ばれているのにあわせて、1850年発行の切手は“山羊の目”、1854年発行の切手は“猫の目”と呼ばれています。

 さて、今月号の『郵趣』では、目前に迫った<JAPEX>の事前予告として、池袋会場の企画出品の“外国郵便”ならびに“25~協会財団化25周年”、特別出品の“日本切手の銘版”、目白会場の“船の郵便展”をカラーで特集しています。ぜひ、<JAPEX>を参観していただく際のガイドとしてご活用いただけると幸いです。

 【トーク・イベントのご案内】  
<JAPEX>期間中、池袋会場内の特設スペースで以下のトーク・イベントを行います。 ぜひ、遊びに来てください。
 
 2日(金・初日) 15:00~
 『香港歴史漫郵記』を題材にしたトークを行います。会場内には、オープンクラス作品“A HISTORY OF HONG KONG”も展示する予定です。

 3日(土・祝日) 13:30~
 『タイ三都周郵記』を題材としたトークを行います。なお、同書の奥付上の刊行日は11月15日ですが、会場では先行発売を行います。

 会場で一人でも多くの皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
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