イスラエルが22日、ガザ地区中部のユダヤ人入植地ネツァリムの入植者を退去させ、ガザからのすべての入植者の撤退を完了しました。軍の施設などがまだ残っているため、完全撤退は9月末頃になるとのことですが、実質的にはイスラエルのガザ撤退は完了したと見て構わないでしょう。
ガザ地区がイスラエルの占領下に置かれたのは、1967年6月の第3次中東戦争の時のことでしたから、占領の期間は実に38年に及んだことになります。ちなみに、僕は1967年の生まれですから、オギャーと生まれた赤ん坊がお腹周りを気にする中年男になるまでの時間の長さというものを改めて実感させられます。
そんなわけで、今日は、イスラエルの占領直後のガザのマテリアルをご紹介してみましょう。
このレターシートは、1967年6月(裏面に日付の記載がある)の第3次中東戦争に際して、イスラエルの捕虜になったアラブ兵がガザから差し出したものです。捕虜の通信は無料で取り扱うことが国際的に決められているため、切手は貼られていません。赤十字のマークや、ダビデの星の入ったイスラエル側の検閲印などが当時の状況を生々しく伝えています。宛先はイスラエル国内の郵便局の私書箱となっていますから、おそらく、戦前はエジプトなりヨルダンなりの領土だったものの、戦争の結果、イスラエル側に占領された地域だろうと考えられます。
ガザの郵便は、オスマン帝国時代→イギリス委任統治時代→エジプト時代→イスラエル時代→パレスチナ自治政府時代、といった具合に、この100年でさまざまに変化していますので、郵便史コレクションをつくってみると面白いのではないかと常々思っています。そんなわけで、ガザ関係のカバー(封筒)は、気の利いたものがオークションに出るとポツポツ買ってはいるのですが、なかなかまとまったコレクションにはならないのが頭の痛いところです。
そうはいっても、少しは面白そうなカバーも手許に溜まってきたので、いずれまた、このブログでも気まぐれにご紹介していくつもりです。