2007-09-02 Sun 09:16
日本では“終戦の日”というと玉音放送のあった8月15日ですが、世界的には、ミズーリ号で太平洋戦争の降伏文書が調印された9月2日が対日戦争終結の日(V-J DAY)とされていることが多いようです。というわけで、今日はこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1945年9月2日、“対日戦争勝利”の記念印を押されてマニラから差し出されたカバーです。ちょっとかすれていますが、“日本の無条件降伏(UNCONDITIONAL SURRENDER OF JAPAN)”ならびに“V-J DAY”の文字が入っており、非常にわかりやすい内容です。 貼られている切手は、いわゆるVICTORY加刷切手。第二次大戦末期、フィリピンに再上陸した米軍が再占領した地域で発行・使用した切手で、早い地域では1945年1月には使われています。 米軍の再占領によって、戦時中、日本軍占領下で独立を宣言した親日派政権(第2共和国)は解体され、アメリカ支配が復活します。とはいえ、アメリカは戦前の1934年、タイディングス・マクダフィー法で10年後のフィリピン独立を承認しており、翌1935年には独立準備政府として自治領政府(フィリピン・コモンウェルス)発足していたという経緯もあって、1946年7月4日、フィリピン第3共和国(現在のフィリピン)として独立を果たしました。 なお、アメリカ側はフィリピンを支配していた“恩恵”を強調する意味でフィリピンの独立記念日を7月4日に設定したわけですが、現在のフィリピン政府は1898年にアギナルド政府がアメリカによるフィリピン併合の動きに対抗して独立宣言を行った6月12日としています。 このあたりのフィリピンとアメリカの微妙な関係については、拙著『反米の世界史』でもまとめてみましたので、よろしかったらご一読いただけると幸いです。 |
#939 日本からの「勝利」
加刷が「勝利」とあるところに、当事者フイリピンよりもアメリカ主体の見方があるように思います。いずれにせよ、この加刷がアメリカ奪還地域でフイリピンゲリラを含め戦意の高揚に果たした可能性を考えると、なかなか良いプロパガンダの占領地加刷ではないかと思います。
#943 コメントありがとうございます
muraki様
まぁ、わかりやすい加刷というのが、アメリカらしいといえばアメリカらしいですよね。 |
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