2007-06-28 Thu 09:20
昨日に引き続き、今週末の30日から、東京・目白の切手の博物館特設会場にて開催の「香港返還10周年記念・香港切手展 香港歴史漫郵記」(登録審査員によるワンフレーム展と併催)の展示品の中から、こんなマテリアルをご紹介いたします。(画像はクリックで拡大されます)
これは、日本占領下の1943年3月、香港から桂林宛に差し出されたカバーで、日本軍による香港占領に抗議して、中国側に渡った時点で、貼られている日本切手(東郷平八郎の5銭切手)が黒く塗りつぶされています。 消印の局名は読めませんが、差出人の蔡天普が差し出した郵便物には九龍塘の消印のモノが多いといわれているので、あるいは、このカバーもそうかもしれません。日付のほうは、スキャンで上手く出ているかどうかは微妙ですが、活字の痕跡がなんとか見えますので、昭和18年3月27日と特定できます。 中国がらみで黒塗りの郵便物というと、満洲国に絡むものが有名ですが(こちらについては、いずれこのブログでもご紹介しますが、とりあえずは拙著『満洲切手』をご覧いただけると幸いです)、こちらは、満洲国の場合と違って、黒塗りにされた切手は無効とはされず、受取人から不足料等は徴収されていません。いずれにせよ、当時の中国人の“抗日”の意思が強く伝わってくるマテリアルではあります。 あさって30日からスタートの「香港返還10周年記念・香港切手展 香港歴史漫郵記」では、今回の郵便物のほかにも、日本占領時代の香港のマテリアルをいくつか展示しています。是非、会場で実物をご覧いただけると幸いです。 また、今日ご紹介のカバーについては、このたび大修館書店から刊行の拙著『香港歴史漫郵記』でもいろいろと書いてみましたので、こちらもあわせてご覧いただけると幸いです。 【展覧会のご案内】 6月30日・7月1日(土・日)の両日、 東京・目白の切手の博物館特設会場にて、拙著『香港歴史漫郵記』の刊行にあわせて「香港返還10周年記念・香港切手展 香港歴史漫郵記」を開催(登録審査員によるワンフレーム展と併催)いたします。 展示内容は2004年のアジア国際切手展のオープンクラスに出品して部門最高賞のExcellentメダルを受賞した僕のコレクション、A HISTORY OF HONG KONGと返還以降2006年末までに発行された中国香港切手が中心です。 入場は無料。時間は両日ともに10:30-17:00で、両日ともに14:30から展示解説を行うほか、先着300名様に英領時代の香港切手をプレゼントしますので、是非、遊びに来てください。 |
#774 抗日の黒塗り
日本の侵略は、中国人にとって精神面でも大きな屈辱であったことがこのカバーからうかがい知れます。おそらく、世界のカバーでも類を見ない「直接行動」ではないかと思いました。
#779 コメントありがとうございます
黒塗りというと、冷戦期の西ドイツ(ベルリン)→東ドイツの例がいろいろありますよね。これもチャレンジしてみたいテーマですが、なかなか、手が回りません。orz
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