2007-02-18 Sun 00:54
女優の藤原紀香が、昨日(17日)の結婚式で十二単を着て話題になったとのだとか。というわけで、今日は、十二単の女性が描かれている切手の中から、この1枚を持ってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第2次国宝シリーズの第2集として1977年1月20日に発行された「平家納経」の切手です。 平家納経は、願文1巻、法華経28巻等33巻からなり、1164年、平清盛が一門を率いて厳島神社に奉納したものといわれています。金銀の優美な金具をつけた表紙と見返しに経典の内容にふさわしい文様や絵が加えられ、さらに本紙にも金銀の切箔や野毛(細長く切った切箔)を散らすなどの意匠が凝らされており、装飾経の最高傑作のひとつといわれています。 切手に取り上げられたのは、厳王品の見返し部分で平安時代の代表的な美人である引目鉤鼻の二人の貴婦人が左上方からたなびく金色に向かって合掌している様子が描かれています。これは、二人の女性を妙荘厳王の物語の信仰篤い二王子、浄蔵と浄厳に見立てたものです。 法華経の妙荘厳王本事品第27には、浄蔵、浄眼の2人の王子と、浄徳夫人の3人が、外道の父(妙荘厳王)を法華経に帰依させた物語が説かれています。物語では、王子が両親に自分たちの師である雲雷音宿王華如来という仏に会うことを勧める際に、「(仏に会うのは)優曇華の花が咲くのを見るのが難しいように、また、片目の不自由な亀が大海に浮かぶ木の穴を見つけるのが難しいように、じつに希なことである。幸い私たちは、仏法にめぐり会うことができ、こんな嬉しいことはない」という趣旨の発言をしているのですが、オリジナルの平家納経では、そのことを踏まえて、添景として甕(亀)、水に浮かぶ経巻(浮き木)などの絵模様も配されています。 切手では肝心の部分がトリミングでカットされているので、ただ単に十二単の女性が二人描かれているようにしか見えないのが残念なのですが、まぁ、印面の構図を考えたら仕方のないことでしょう。 さて、戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの第5巻『沖縄・高松塚の時代:切手ブームの落日 1972-1979』が、いよいよ、3月25日に刊行になります。 今回の採録範囲は、今日ご紹介の切手を含めて、1972年の「札幌オリンピック」から1979年の「国土緑化運動」まで。前作までと同様、対象期間の(公園・年賀を除く)全記念特殊切手についての情報がぎっしり詰まった1冊に仕上がっていますので、刊行の暁には、是非、お手にとってご覧いただけると幸いです。 |
内藤先生、第5巻楽しみにしております。2月号の郵趣の「私の10枚」に「点字切手」をご採用頂き、ありがとうございました。2月号を学長、学部長はじめ学内関係者、また、日本点字図書館、日本盲人会連合など視覚障害関連の団体に寄贈しましたところ、たいへん興味を持っていただけました。さらに視覚障害関や点字の理解を広めるのに役にたった等の好意的なコメントを頂きました。現在、郵趣出版に別刷りを依頼しておりますが、出来上がり次第、全国の盲学校などに送ろうと考えております。今後ともよろしくご指導下さいますようお願い申し上げます。
#521 コメントありがとうございます
大沢秀雄先生
いつもありがとうございます。掲載は僕の一存で決めたということではなく、関係者一同、是非先生にお願いしたいということでしたので、喜んでいただいて何よりです。また、フィラテリーの普及のためにいろいろとご尽力いただき、本当に頭が下がる思いです。 今後とも、いろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願いします。 |
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