2022-08-09 Tue 00:35
きょう(9日)は、第二次大戦末期の1945年8月9日、ソ連が、日ソ中立条約を一方的に破棄して日本に宣戦布告し、満洲に侵攻したことにちなむ“反ロシアデー(旧反ソ連デー)”です。というわけで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、第二次大戦後、ソ連によってシベリアに連行され、強制労働に従事させられていた日本人抑留者が長野県に差し出した葉書で、抑留者の通信用に作られた専用の往復葉書の往片部が使われています。正確な差し出し日は不明ですが、ウラジオストクの中継印は1946年11月10日になっており、日本に到着した際の占領当局による検閲の金魚鉢印の上には11月26日の書き込みがあります。 1945年8月9日、ソ連は、日ソ中立条約を一方的に破棄し、満洲、北朝鮮、千島、樺太に侵攻。ソ連側は捕虜となった旧日本兵に「トウキョウ、ダモイ」すなわち東京へ帰還(ダモイ)させると甘言を弄して彼らをシベリア鉄道の貨物列車に詰め込み、東はカムチャッカ半島のペトロパブロフスクから西はウクライナのクタイス、北は北極圏のノリリスクから南は中央アジア・ウズベキスタンのタシュケントやフェルガナまで、およそ2000ヵ所にも及ぶ収容所へと移送しました。 今回ご紹介の葉書の文面にも「この便りを随分驚きのことと思います」とあり、この葉書の差出人もソ連に騙されてシベリアに連行されてきたことが伺えます。 ソ連があらゆる国際法規を無視して(たとえば、対日参戦に際してソ連が署名していたポツダム宣言には、連合国の捕虜となった日本兵を本国へ早期帰還させることがはっきりと規定されています)日本人を抑留し、強制労働を課したのは、ドイツとの戦争で荒廃しきった自国の経済復興のため、奴隷同然の安価な労働力が必要だったためです。 収容所では、十分な食糧も与えられないまま重労働を課せられ、過重なノルマを達成できなければ容赦なく食事を減らされました。また、医療・衛生環境もきわめて不十分でしたから、過酷な自然環境とあわせて、多くの犠牲者が出るのも当然でした。厚生労働省が把握しているだけでも約56万1000人の日本人が抑留され、6万人が亡くなったといわれています。このことは、我々日本人が民族の悲劇として決して忘れてはなりません。 詳細につきましては、こちらをクリックして、内藤総研サイト内の当該投稿をご覧ください。なお、内藤総研の有料会員の方には、本日夕方以降、記事の全文(一部文面の調整あり)をメルマガとしてお届けする予定です。 また、旧ソ連、特にスターリン体制の恐ろしさについては、拙著『本当は恐ろしい!こわい切手』でも、ウクライナを例にご説明しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★ 放送出演・講演・講座などのご案内 ★ 8月12日(金) 05:00~ おはよう寺ちゃん 文化放送の「おはよう寺ちゃん」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時から8時までの長時間放送ですが、僕の出番は6時からになります。皆様、よろしくお願いします。 よみうりカルチャー 荻窪 宗教と国際政治 原則毎月第1火曜日 15:30~17:00 時事解説を中心とした講座です。詳細はこちらをご覧ください。 武蔵野大学のWeb講座 「日本の歴史を学びなおす― 近現代編」と「日本郵便150年の歴史」の2種類の講座をやっています。詳細はこちらをご覧ください。 ★ 『本当は恐ろしい! こわい切手』 好評発売中!★ 怨霊、ゾンビ、鬼、そして人間の闇 …… 古今東西の奇妙な切手を集めた一冊。 それぞれの切手には、いずれも世に出るだけの理由が必ずある。 その理由を求めて、描かれた題材の歴史的・文化的・社会的背景を探っていくと、 そこからさまざまなドラマが浮かび上がってくる。 * ご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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