2015-10-26 Mon 10:52
中央アジア歴訪中の安倍首相は、きのう(25日)、ウズベキスタンのタシュケント抑留日本人墓地(公営ヤッカサライ墓地)と、先の大戦後に旧ソ連により抑留された日本人らが建設したナヴォイ劇場を訪ね、コンサートを鑑賞しました。というわけで、きょうはこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1950年1月3日、ソ連が発行したウズベク・ソヴィエト社会主義共和国25周年の記念切手のうち、ナヴォイ劇場を取り上げた25コペイカ切手です。 現在のウズベキスタン共和国の領域は19世紀にロシア帝国に征服され、ロシア革命後は現在のトルクメニスタンの領域とともにトルキスタン自治ソビエト社会主義共和国の時代を経て、1924年10月27日、トルクメン・ソヴィエト社会主義共和国が分離されてウズベク・ソヴィエト社会主義共和国となりました。今回ご紹介の切手はそこから起算して25周年になるのを記念して発行されたもので、切手上の表示も“1924*1949”となっていますが、実際の発行は1950年にまでずれ込んでいます。 切手に取り上げられたナヴォイ劇場は、15世紀のティムール朝の文人・政治家でウズベク人の民族的英雄とされるミール・アリー・シール・ナヴァーイーの名を冠したオペラ・バレエ劇場で、モスクワの国立アカデミー劇場(通称・ボリショイ劇場)などと並ぶ旧ソ連4大劇場のひとつとされています。 設計はレーニン廟などで知られるアレクセイ・シュチューセフが担当し、ナヴァーイーの生誕500年にあたる1941年の完成を目指して1939年から建設作業が始まりましたが、第二次大戦により、土台と一部の壁、柱などがつくられた状態で工事は中断されます。 このため、第二次大戦後、多くの日本人を抑留したソ連当局は、旧日本軍工兵隊の457人を動員し、ロシア革命30周年にあたる1947年11月の完成を目指して工事を再開。収容観客数1400人、舞台の広さ540平米の壮麗な劇場を完成させました。ちなみに、1966年4月26日のタシュケント地震では市内7万8000棟の建物が倒壊しましたが、ナヴォイ劇場は無傷で市民達の避難場所として利用されました。このことは、日本人の丁寧な仕事ぶりを示すエピソードとして現地では広く知られており、ウズベキスタンの親日感情の一要因となっています。 なお、ソ連による日本人のシベリア抑留と彼らが関わった建造物等については、拙著『ハバロフスク』でもいろいろご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ <JAPEX> トークイベントのご案内 ★★★ 東京・浅草で開催される全国切手展<JAPEX>会場内で、下記の通り、拙著『アウシュヴィッツの手紙』ならびに『英国郵便史 ペニー・ブラック物語』の刊行記念のトークイベントを予定しております。よろしかったら、ぜひ遊びに来てください。なお、詳細は主催者HPをご覧いただけると幸いです。 ・10月30日 15:30~ アウシュヴィッツの手紙 ・11月1日 14:00~ 英国郵便史 ペニーブラック物語 ★★★ イベントのご案内 ★★★ ・11月7日(土) 09:30- 切手市場 於 東京・日本橋富沢町8番地 綿商会館 詳細は主催者HPをご覧ください。新作の『アウシュヴィッツの手紙』ならびに『ペニー・ブラック物語』を中心に、拙著を担いで行商に行きます。 会場ならではの特典もご用意しております。ぜひ遊びに来てください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『アウシュヴィッツの手紙』 予約受付中! ★★★ 税込2160円 【出版元より】 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。 11月上旬刊行予定ですが、現在、版元ドットコム、amazon、hontoネットストア、新刊.netの各ネット書店で予約受付中ですので、よろしくお願いします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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