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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 切手歳時記:モリアオガエル
2021-06-26 Sat 02:47
 ご報告が遅くなりましたが、公益財団法人・通信文化協会の雑誌『通信文化』2021年6月号が発行されました。僕の連載「切手歳時記」は、今回はこんな切手を取り上げています。(画像はクリックで拡大されます)

      モリアオガエル

 これは、1976年7月20日に発行された“モリアオガエル(自然保護シリーズ)”の切手です。

 カエルは全呼吸の3割から5割が皮膚呼吸で、このため、湿度が高いと呼吸が活発になり、よく鳴きます。「カエルが鳴くと雨が降る」といわれるのはこのためです。

 一口にカエルと言っても種類は様々ですが、今回ご紹介のモリアオガエルの切手は、梅雨時の雨の日のカエルのイラストのイメージに近いのではないかと思います。

 モリアオガエルはアオガエルを代表する種で、その名の通り、本州と佐渡島の山地で多く見られ、非繁殖期はおもに森林に棲息。繁殖期の4月から7月にかけては棲息地付近の湖沼や水田、湿地に集まってくきます。

 体長は、オスが50-70ミリ、メスが60-90ミリくらいで、体の背面は緑色又は暗緑色で個体によっては赤褐色の不規則な小班があります。一方、腹面は灰色又は黄色実を帯びた淡灰色で、暗褐色の斑点があるものもあります。

 多くのカエルは水中にゼリー層に覆われた卵を産みますが、モリアオガエルは水面上にせり出した木の枝や草の上、地上などに白い泡で包まれた卵塊を産みつけるのが大きな特徴です。

 繁殖期になると、まずオスが産卵場所に集まり、「カララ・カララ」、「コロコロ」、「クックック」と鳴きながらメスを待ちます。メスが産卵場所にやってくるとオスは背中にしがみつき、産卵が始まるが、卵塊が形成されていくと、一匹のメスに数匹のオスが群がってきます。

 泡の塊は、産卵・受精と同時に分泌された粘液をカエルたちが足でかき回して作るもので、直径10―15センチほどの泡の塊の中には黄白色の卵が300―800個ほど産みつけられています。

 ちなみに、泡状の卵塊は“延命小袋”と呼ばれ、これに触れた者には、長寿や病気平癒の御利益があるとされてきました。

 樹上の卵塊はヘビ等に食べられてしまうことも多いのですが、無事に天敵の目を逃れると、卵は一週間ほどで孵化し、腹に卵黄をつけたままのオタマジャクシは泡の塊の中で雨を待って、雨で溶け崩れる泡の塊とともに下の水面へ次々と落下していきます。ただし、ここでもイモリが真下で待ちかまえていて、落ちてくるオタマジャクシを食べてしまうのだとか。

 この難関を潜り抜けたオタマジャクシは、藻類や動物の死骸などを小さな歯で削りとって食べながら、1ヵ月ほどかけて水中で成長しますが、ここでも、ヤゴやゲンゴロウなどの天敵がいるため、無事にカエルの姿にまで成長できたカエル超エリートといってよいでしょう。

 かつては各地でみられたモリアオガエルですが、環境の変化により棲息数は減少傾向にあり、奈良県では絶滅寸前、千葉、兵庫、岡山の各県では絶滅危惧II類(VU)に指定されています。ただし、日本全体としては、環境省のレッドリストには登録されておらず、国際自然保護連合 (IUCN) も個体数は安定傾向にあると評価しています。

 また、福島県双葉郡川内村平伏沼の繁殖地、岩手県八幡平市の大揚沼の繁殖地は国指定の天然記念物となっているほか、各自治体レベルでの天然記念物指定も少なくありません。変わったところでは、愛知県新城市が、モリアオガエルを“市のカエル”に指定しています。


★★★ 全日本切手展のご案内  ★★★ 

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      全日展2021・アイキャッチ


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 7月3日・10日・17日・24日・31日、8月7日の6回、下記のふたつの講座でお話しします。 

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