2021-01-08 Fri 03:17
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、きのう(7日)、菅首相は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に緊急事態宣言を発令しました。わが国における非常事態宣言の発令は昨年4月7日から5月25日以来、2度目のことで、今回の期間はきょう(8日)から2月7日までの1ヵ月とされています。というわけで、きょうは、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2020年8月、新型コロナウイルスの蔓延に対応すべく、メキシコが発行した“緊急切手”のうち、メキシコ中央高地に位置するグアナファトの民芸品のの人形を取り上げた7ペソ切手です。ここでいう“緊急”はスペイン語の“emergencia”ですが、この語は英語の“emergency”に対応するもので、“緊急(時)”のほか“非常(時、事態)”とも訳されます。今回発せられた非常事態宣言も、英語では“state of emergency”となりますので、emergencyつながりでご紹介してみました。 メキシコでは、1990年代から散発的にシール式切手が発行されていましたが、2020年以前に発行された切手は、原則として水溶性の裏糊を引いた従来型のタイプのモノでした。ところが、コロナウイルスの感染拡大を受けて、裏糊を舐めて貼られることが多い従来型の切手はウイルス感染の温床になりかねないとして、急遽、2005年に発行された普通切手、“民芸品シリーズ”の図案を流用したセルフ糊(シール式)の“緊急切手”が制作され、2020年7月から8月にかけて発行されました。 ちなみに、2005年の民芸品シリーズのうち、今回ご紹介の緊急切手と同図案・同額面の7ペソ切手はこんな感じです。 2005年の切手と2020年の緊急切手は、いずれも、メキシコの切手証券印刷局(TOEV:Talleres de Impresión de Estampillas y Valores)が製造していますが、緊急切手の方は目打のルレットがかなり粗いので単片に切り離して使用された状態でも容易に区別できます。また、2005年の切手がフツーに目打部分で切り離せるのに対して、緊急切手のセルフ糊は品質が悪いために台紙から剥がすのが難しく、郵便物に貼られている切手には破れているものが多いと報告されています。 もっとも、現在のメキシコでは、郵便局の窓口で職員が切手を貼って郵便物を処理することは少なく、大半が印字処理のため、緊急切手の発行も、実際に感染拡大を防ぐためというより、国民の防疫意識を高める啓発的な意図の方が強いのではないかと考えられます。 ★ 文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」 出演します!★ 1月8日(金)05:00~ 文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」に内藤がコメンテーターとして出演の予定です。番組は早朝5時のスタートですが、僕の出番は6時台になります。皆様、よろしくお願いします。 ★ 内藤陽介の最新刊 『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』 ★ 本体1600円+税 出版社からのコメント 【中国の札束攻勢にソロモン諸島は陥落寸前!】 日本軍の撤退後、悲劇の激戦地は いかなる歴史をたどり、 中国はどのように浸透していったのか 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、本書の目次をご覧いただけるほか、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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