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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 シャルル・ド・ゴール没後50年
2020-11-09 Mon 02:39
 1970年11月9日にシャルル・ド・ゴール(以下、ドゴール)が亡くなって、ちょうど50年になりました。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      フランス謀略切手・ドゴール

 これは、1943年にフランスのレジスタンス勢力が制作したドゴールの“謀略切手(プロパガンダ・ラベル)”です。

 第二次欧州大戦中の1940年6月、フランスはドイツ軍に降伏し、パリを含む北部フランスはドイツに占領され、南部はフィリップ・ペタンを国家主席とし、ヴィシーを首都とする親独派政権(フランス国)の支配下に置かれます。これに対して、ドイツへの降伏を潔しとせず、抗戦継続を主張する前国防次官のシャルル・ド・ゴールらはロンドンに亡命して“自由フランス”を結成。フランス本国が親独派と抗戦派に分裂する中で植民地政府の対応も割れ、同年10月にはドゴールが仏領コンゴのブラザヴィルに入城し、自由フランス側はここから巻き返しを図ることになります。

 1941年6月に独ソ戦が始まると、同年11月、ヴィシー政権は反共フランス義勇軍を派遣し、ソ連軍と戦いました。さらに、1942年6月、ヴィシー政権首相のピエール・ラヴァルは、対独協力をさらに進め、共産主義を阻止するためにドイツの勝利を支持すると声明し、ドイツがフランス人捕虜1人解放すればフランス人労働者3人をドイツ支配下のの工場に送ることを発表。1943年1月、ラヴァルはドイツの労働力配置総監フリッツ・ザウケルの要求に応じて、1920-22年生まれの若者(当時の年齢で21-3歳)25万人をドイツの支配地域に送りました。その後、1944年1月にはドイツ側から100万人のフランス人労働者を送るよう要求があり、これに対して、フランス側は7月21日までに総計60-65万人を送っています。

 こうしたラヴァルの親独政策に対してはレジスタンス組織が結成されて抵抗運動が展開されていましたが、その一環として、ニースを中心とするアルプ=マリティーム県の地下組織“COMBAT”は、レジスタンス側の士気を鼓舞するため、1942年、ヴィシー政権下で使われていたペタンの肖像入り普通切手を模して、ペタンの代わりにドゴールの肖像を入れた1フラン50サンチームの“切手”を制作しました。
 
 “切手”は3×3の9面シートで、印刷工のロベール・ティランが原版を制作し、ジョルジュ・フォナが印刷、ジョルジュッテ・ウーデが目打の穿孔を担当しました。なお、ティランは1943年2月3日、ニースでゲシュタポに逮捕され、拷問の末に殺害されています。

 彼らが作った“切手”は、1943年7月28日に摘発されるまでCOMBATの関係者によって秘かに販売されました。ヴィシー政権の国家郵政が発行した正規の切手ではないため、本来は郵便料金前納の証紙としては無効なはずですが、郵便関係者にもCOMBATの支援者がいたこともあり、同月22日から30日にかけて、ニースの他、マルセイユ、トノン、リヨン、カンヌ、ロシュギュード、ブサンソン、モンペリエでは、この“切手”を貼って配達された郵便物の例が報告されています。

 なお、1944年6月6日、ノルマンディー上陸作戦が開始され、連合軍がフランスに再上陸すると、その直前の6月3日にアルジェでフランス共和国臨時政府を組織していたドゴールは、祖国に戻って自由フランス軍を率いてドイツとの戦闘に参加。同年8月25日にパリが解放されるとフランス共和国臨時政府はパリに移転し、ヴィシー政権は事実上崩壊して、ドゴールは正式に臨時政府の主席に選出されました。


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