fc2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
<!-【↓2カラムテーブルここから↓】-->
 泰国郵便学(58)
2019-09-30 Mon 11:38
 ご報告がすっかり遅くなりましたが、公益財団法人・日本タイ協会発行の『タイ国情報』第53巻第4号ができあがりました。というわけで、僕の連載「泰国郵便学」の中から、この1点をご紹介します。(画像はクリックで拡大されます)

      タイ・国連の日(1977)

 これは、1977年10月24日、に発行された“国連の日”の切手で、バンコクの国連ビルが描かれています。

 バンコクに設置された国連の常設機関は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が最初です。

 ESCAPは、1947年、戦後のアジア地域の経済復興を支援するため、国連経済社会理事会の地域委員会の一つとして設立された国連アジア極東経済委員会(ECAFE)がその前身です。当初、ECAFE本部は上海に置かれていましたが、国共内戦で中国の国民党政権が上海を撤退したことを受けて、1949年、バンコクに退避。1953年、正式にバンコクへの移転が決議されました。

 なお、この間の1950年、ECAFEは所蔵資料が当初予想をはるかに超える勢いで増加してきたことを踏まえ、専門の司書を雇い入れ、図書館(一般の利用も可)の整備を本格化しています。また、1952年には日本が準加盟国としてECAFEへの参加を認められ、1956年の国連加盟に先立ち、1954年にECAFEの正式加盟国となりました。

 ECAFEは、1959年には加盟各国の高速道路網を活用した“アジアハイウェイ”構想を提唱し、1968年からその運営事務局となったほか、アジア・太平洋における経済成長及び経済協力を助長し、開発途上加盟国の経済発展に貢献することを目的とする国際開発金融機関として、アジア開発銀行の設立を提唱しました。なお、同行は、1965年にマニラで設立協定が採択され、翌1966年11月、東京で設立総会が開催された後、マニラに本部を置いています。

 ECAFEは、その活動領域が、アジア太平洋地域全般に拡大したことに加え、経済のみならず社会開発政策に深く関与するようになったことを踏まえ、1974年、ESCAPに改称。これに伴い、1975年、バンコク中心部のラーチャダムヌーン・ノーク通りとクローン・パドゥン・クルンカセム通りの角に、切手にも取り上げられた国連ビルが建設され、ESCAP本部がその本館1階に入居しました。

 国連ビルは敷地面積1万8600平米で、15階建ての事務局棟とその前面に扇形に配された会議場で構成されています。事務局棟には、ESCAP本部以外にも、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)国際労働機関(ILO)、国連環境計画など、国連専門機関のタイ・オフィスが置かれています。なお、会議室やカフェテリアなどは一般の利用も可能です。

 1975年に完成した国連ビルに関しては、1975年中は無理にしても、翌1976年の“国連の日”の切手に取り上げることは十分に可能だったはずですが、1976年の“国連の日”の切手には、1975年にワット・タムクラボークがマグサイサイ賞(社会奉仕部門)を受賞したことを踏まえ、“依存症患者への国連の支援”のイメージが取り上げられています。この結果、国連ビルの切手への登場も1977年にずれ込んだのでしょう。


★★ 講座のご案内 ★★

 10月からの各種講座のご案内です。詳細については、各講座名をクリックしてご覧ください。

・よみうりカルチャー 荻窪
 宗教と国際政治
 毎月第1火曜日 15:30~17:00
 10/1、11/5、12/3、1/7、2/4、3/3(1回のみのお試し受講も可)

・武蔵野大学生涯学習秋講座
 飛脚から郵便へ―郵便制度の父 前島密没後100年―
 2019年10月13日(日) 
 (【連続講座】伝統文化を考える“大江戸の復元” 第十弾 全7回)

 切手と浮世絵
 2019年10月31日 ー11月21日 (毎週木曜・4回)


★★ 内藤陽介の最新刊 『チェ・ゲバラとキューバ革命』 好評発売中!★★

      チェ・ゲバラとキューバ革命 表紙カバー 本体3900円+税
 
 【出版元より】
 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代”の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、国連での伝説的な演説、最期までを郵便資料でたどる。冷戦期、世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの全貌を明らかする。

 本書のご予約・ご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。

別窓 | タイ:ラーマ9世時代 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 郵便葉書150年 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  ラグビー、日本が大金星>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
<!-【↑2カラムテーブルここまで↑】-->
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/