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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ニカラグア革命40年
2019-07-19 Fri 01:23
 きょう(19日)は、いまから40年前の1979年7月19日、中米のニカラグアでソモサ政権が崩壊し、ニカラグア革命(サンディニスタ革命とも)が達せられたことにちなみ、ニカラグアの革命記念日です。というわけで、きょうはこの切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      ニカラグア・革命30年

 これは、いまから10年前の2009年にニカラグアが発行した“革命30年”の記念切手で、革命当日、勝利を祝う革命派の人々が取り上げられています。

 ニカラグアでは、1936年以降、親米・反共を前面に打ち出していたソモサ独裁政権の支配が続いていました。こうした状況の下、1961年、キューバ革命の影響を受けたトマス・ボルヘ、カルロス・フォンセカらが、左翼系の反政府組織としてサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を組織しました。組織名は、1934年、米国の内諾を得た国家警備隊長のアナスタシオ・ソモサ・ガルシアに暗殺されたニカラグア反米闘争の志士、アウグスト・セサル・サンディーノにちなむものです。

 FSLNは、1963年、本格的な反政府武装闘争を開始。当初、彼らの闘争は、米国の支援を受けたソモサ王朝に全く歯が立ちませんでしたが、1972年12月23日、首都マナグア近郊を震源とするマグニチュード6.2の巨大地震が発生。この地震により、マナグア市街地の90%が倒壊し、1万9120人が亡くなり、世界中から救援物資がニカラグアに送られましたが、ソモサ一派はそれらを着服し、マナグアのダウンタウンの再建は放棄されました。これに対して、国際社会は独裁政権を批難し、ニカラグア国内でもFSLNが国民の支持を集めるようになります。

 さらに、1978年、独立系日刊紙『ラ・プレンサ』の社主として、穏健保守の立場からソモサ独裁政権を批判していたペドロ・ホアキン・チャモーロがソモサ政権により暗殺されると、反ソモサの国民感情が爆発。1979年7月19日、FSLNはついにソモサ政権を打倒してニカラグア革命を成就させました。

 FSLNによる革命政権は左翼的な色彩が強く、キューバとも関係が緊密だったため、反共を前面に掲げて1981年に発足したアメリカのレーガン政権はニカラグアの“キューバ化”を阻止すべく、旧ソモサ軍など革命政権に不満を持つ勢力に資金を提供し、“コントラ”と総称される反革命民兵組織を支援。ニカラグアはFSLN政権とコントラとの内戦に突入します。

 内戦はFSLNを支援するソ連・キューバとコントラを支援する米国との代理戦争の様相も呈して長期化し、1989年の停戦合意成立まで、多くの国民が犠牲になっただけでなく、自然環境や社会インフラも破壊されました。さらに、米国がFSLNに対する経済制裁を発動したため、ニカラグアは国際市場から締め出され、通貨コルドバは暴落。ハイパー・インフレが発生し、ニカラグアは事実上に国家破綻に陥り、その後遺症ゆえ、現在なお、ニカラグアの国民所得や識字率は中米でも低い水準にとどまっています。

 なお、FSLNについては、拙著『チェ・ゲバラとキューバ革命』でも、主としてキューバとの関連で触れておりますので、機会がありましたら、ぜひお手にとってご覧いただけると幸いです。


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