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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ノモンハン事件80年
2019-05-11 Sat 01:46
 1939年5月11日にノモンハン事件が起こってから、きょうで80年です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      モンゴル・ハルヒンゴル勝利30周年

 これは、1969年にモンゴルが発行した“ハルヒンゴル戦争(ノモンハン事件のモンゴル側の呼称)勝利30年”の記念切手です。

 1932年3月に建国を宣言した満洲国の西部からモンゴルの支配地域にあたる外蒙古地区、それに1939年当時は日本軍の占領下にあった内蒙古地区にかけての一帯は、もともと、モンゴル人が遊牧生活を営む草原地帯でした。遊牧民の常として、モンゴル人は家畜を連れて自由に移動したため、無意識のうちに国境侵犯を繰り返しており、国境線は非常に曖昧でした。

 このため、満洲国の建国以前、ソ連とモンゴルがハルハ河流域の国境を河より30kmほど東側に設定していたのに対して、中国側はハルハ河の中心線を国境とし、満洲国も中国側の主張を踏襲していました。

 1939年5月11日、関東軍の第23師団はハルハ河流域で「モンゴル兵の“越境”を認めた」という理由で、モンゴル軍の撃退に向かい、いわゆるノモンハン事件が勃発します。

 これに対して、ソ連はモンゴルとの相互援助条約に基づいて出兵。当初の1月ほど、戦闘は散発的なものでしたが、6月27日、日本軍が百機を越える航空機でモンゴル領内に侵入し、タムツァク・ブラクのソ連空軍基地を爆撃。さらに、7月2日、地上部隊がハルハ河を越えてモンゴル領内に進出すると、ソ連・モンゴル連合軍と関東軍の間で熾烈な戦闘が展開されました。

 日本側は、前年の張鼓峰事件の雪辱を果たすべく、第23機甲師団を動員してソ進軍守備部隊を攻撃したものの、最終的には、ソ連軍の戦車部隊によって大きな損害を被っています。なお、一連の戦闘では、ソ連側の損耗もかなり激しかったのですが、そうした実態はソ連崩壊まで厳重に秘匿されていたため、ながらく、ノモンハン事件は日本側の一方的な大敗との評価が一般的でした。

 結局、8月に入って、独ソ不可侵条約が締結されて日独がソ連を挟み撃ちにするプランが無効となったことに加え、9月1日には第二次欧州大戦が勃発したこともあり、9月16日、日ソ間で停戦協定が成立しました。

 その後、1940年6月、再度、日ソ間でソ連・モンゴル・満洲国の国境問題が協議された際、欧州と極東での二正面作戦を回避する必要に迫られたソ連は、モンゴルの国境問題で日本に譲歩。モンゴル側が“固有の領土”と主張していたモンゴル南部のアルシャン地区は、満洲国に編入されてしまいます。ソ連とともにに日本軍と戦ったはずのモンゴルは、皮肉にも、ソ連の衛星国として、ソ連の利益を優先するため、ハルヒンゴル戦争の“勝者”でありながら、日ソ間の国交調整の代償として本来の領土の一部を失うという皮肉な結果となりました。

 * 昨日(10日)の文化放送の「おはよう寺ちゃん 活動中」の僕の出番は、無事、終了いたしました。お聞きいただきました皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。なお、次回の出演は6月下旬の予定(仮)です。放送日が近づきましたら、また、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。


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