2017-09-18 Mon 08:42
きょう(18日)は“敬老の日”です。というわけで、きょうはこんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2014年1月、パレスチナ自治政府(西岸のファタハ政府)が発行した“2013年 パレスチナ警察の日”の切手シートで、切手部分には、老女をサポートする警察官が取り上げられています。切手は、当初、2013年7月に発行の予定ですが、実際の発行は2014年1月までずれ込んでいます。なお、切手の製造はバハレーンのオリエンタル・セキュリティ・プリンティング・ソリューションが行いました。 パレスチナ自治政府の警察機構は、1995年9月の暫定自治拡大合意に基づき、3万人を越えない範囲(西岸1万2000人、ガザ1万8000人)で“パレスチナ警察”が設置されたのが最初です。パレスチナ警察は、イスラエル当局と協力しつつ、テロに対処し、これを予防することになっていましたが、2000年9月に始まった第二次インティファーダを機に、イスラエル側との衝突により、特に西岸地区の警察関係機関は大きな打撃を受けました。 2005年にパレスチナ自治政府の大統領に就任したマフムード・アッバースは就任後、治安組織の改革・強化として、同年4月、すべての治安機関を内務庁、国家治安部隊、総合諜報局の3機関に統合する決定を下すとともに、治安機関幹部の定年退職を実施し、人事の刷新を行いました。その後も、アッバース政権は米国の支援を受けつつ、治安組織の強化に取り組んでいます。 切手シートの余白には、岩のドームを背景にパレスチナ国旗を掲げて行進する警察官が取り上げられていますが、現実には、岩のドームのある東エルサレムはイスラエルの統治下にあり、ファタハ政府の警察官がこうした場所を行進することはありません。しかし、ファタハ政府としては、今回ご紹介の切手シートを発行することにより、“エルサレムを首都とするパレスチナ国家”の治安は国際的に認められた正統政府としての自分たちが責任を持って守るという意思を示そうとしたものと考えられます。 さて、先日でき上がってきたばかりの拙著『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』では、2005年のアッバース政権発足後、パレスチナ自治政府が発行した切手についてもいろいろご紹介しております。奥付上の刊行は9月22日で、すでにネット書店での予約販売も始まっておりますので、機会がありましたら、ぜひお手に取ってご覧いただけると幸いです。 *昨日、広島県立ふくやま産業交流館で開催の「日本のこころタウンミ-ティング in 福山」は、無事、盛況のうちに終了いたしました。ご参加いただいた皆様、スタッフならびに関係者の皆様には、この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『パレスチナ現代史 岩のドームの郵便学』 ★★★ 本体2500円+税 【出版元より】 中東100 年の混迷を読み解く! 世界遺産、エルサレムの“岩のドーム”に関連した郵便資料分析という独自の視点から、複雑な情勢をわかりやすく解説。郵便学者による待望の通史! 本書のご注文は版元ドットコムへ。同サイトでは、アマゾン他、各ネット書店での注文ページにリンクしています。また、主要書店の店頭在庫も確認できます。 |
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