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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ディック・ブルーナ、亡くなる
2017-02-18 Sat 11:26
 ウサギのキャラクター“ミッフィー(母国オランダでの名称はナインチェ・プラウス)”の生みの親であるオランダの作家、イラストレーターのディック・ブルーナ氏(以下、敬称略)が、老衰のため、きのう(16日)、ユトレヒトで亡くなりました。享年89歳。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      オランダ・ブルーナ(1969)

 これは、1969年11月11日にオランダが発行した児童福祉切手で、ヴァイオリンを弾く少女を描くブルーナのイラストが取り上げられています。ブルーナのイラストは、母国オランダのみならず、日本でも何度か切手に取り上げられていますが、その最初となったのが、今回ご紹介の切手を含む1969年のオランダ児童福祉切手です。

 さて、ブルーナは、1927年8月23日、オランダのユトレヒト市で、出版社“A・W・ブルーナ&ズーン(以下ブルーナ社)”を経営する父アルバートと母ヨハナのもとに生まれました。

 幼少時から絵を描くことが好きで、中学生時代、レンブラントやファン・ゴッホの作品に強い衝撃と感銘を受けたことで、ブルーナ社のデザイナーの下で、絵の基本を学び、油絵を描くようにりました。

 1945年にオランダがナチス・ドイツの占領から解放されると、ブルーナは画家になるべく、“後継者としての研修をするならば”との条件で父親を説得し、通っていた高校を退学。オランダの書店や、イギリス、フランスの出版社に研修に出向き、出版の基礎を学びました。

 1947年、20歳でオランダに帰国したブルーナは、経営者ではなくアーティストになることを宣言。アムステルダムの国立美術アカデミーに入学するものの、ほどなく退学し、アンリ・マティス、レイモン・サヴィニャック、カッサンドルなどのシンプルで訴求力のある作品を独学で研究し、自らのデザインスタイルを確立させていきました。

 1951年頃からはブルーナ社の専属デザイナーとして働くようになり、同社が発行するさまざまな書籍の装丁を担当します。ブルーナの装丁はシンプルで斬新なデザインスタイルで注目されたほか、彼のデザインした同社のシンボルの熊は、デザインの一部を修正して、ブラック・ベア(Zwarte Beertjes)として、読書週間のポスターなどに使用されました。

 代表作となったナインチェ・ブラウス(ミッフィー)は、1955年に発表された絵本『ナインチェ』の主人公です。『ナインチェ』は、当時は画期的な“文字のない絵本”で、子供たちの支持を獲得。この成功を受けて、ナインチェ・ブラウスを主人公とした字のある絵本も制作されるようになります。1963年以降、それらは各国語に翻訳され、1964年には日本でも石井桃子訳の『ちいさなうさこちゃん』(福音館)が刊行されました。ちなみに、日本で定着してる“ミッフィー”との名前は、1960年に英国で英訳版が発売される際に付けられた英語風の名前で、わが国では、1979年に講談社の絵本で使われたのが初出です。なお、現在でも、絵本のタイトルとしては、福音館が“うさこちゃん”、講談社が“ミッフィー”と異なる名前が使われています。

 1971年には、作品の著作権管理会社のメルシス社を設立。1975年には創作に専念するため、1975年にブルーナ社を退職します。その後は、2011年に引退するまで、社会福祉関係の仕事にも力をいれ、障害者向けの案内記号、歯の健康、献血、赤十字などの公共広告のポスター、デザインを数多く手がけました。その意味では、日本の“ふみの日”やパンのキャラクターではなく、今回ご紹介の児童福祉切手の方が、ブルーナ追悼にはふさわしいのかもしれません。 


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