2016-04-01 Fri 11:30
2012年ロンドン五輪の水泳会場などの独創的な設計で知られるイラク出身の建築家、ザハ・ハディドさん(以下、敬称略)が、昨日(31日)、心臓発作のため亡くなりました。享年65。というわけで、今日はこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、2008年、スペインが発行したサラゴサ国際博覧会(Expo Zaragoza 2008)の記念切手で、画面の手前には、ザハ・ハディドの設計によるパヴィリオン・ブリッジ(ブリッジ・パヴィリオンとも)が見えます。 パヴィリオン・ブリッジは、2008年6月14日から9月14日までスペイン・サラゴサで、「水と持続可能な開発」をテーマに開催された“サラゴサ国際博覧会”のために設計されたもので、文字どおり、会場を流れるエブロ川にかかる橋に展示パヴィリオンを合体させた構造物です。全長260mの橋は、川の中州にある橋脚(これ1本で全体を支えるため、基礎の深さは72.5 mあります)までは1本の屋根つきの橋ですが、そこから先の博覧会場までは複数のパヴィリオンが並んでいます。設計上のコンセプトは“胸骨体”を意味するグラジオラスで、それは、中央のスパインから肋骨のように左右に延びる構造として表現されています。なお、このパヴィリオンでは、万博のテーマである水に関する展示が行われました。 さて、ザハ・ハディドは、1950年、イラクの首都バグダッド生まれ。父親はリベラル派の政治家で、幼少期にシュメールの遺跡を見たことが建築に関心を持つきっかけになったそうです。レバノンにあるベイルート・アメリカン大学で数学を専攻し、1972年、ロンドン建築協会の会員になり、1979年に独立して事務所を開設しました。 2004年に女性として初めてプリツカー建築賞を受賞したのに続き、英建築界で最大の栄誉とされる英王立建築家協会(RIBA)スターリング賞を2度受賞。2016年にはRIBAの金メダルを受賞しました。代表作としては、今回ご紹介の切手のパヴィリオン・ブリッジのほか、ドイツのビトラ消防署(1993年)、アゼルバイジャンのヘイダル・アリエフセンター(2013年)、北京の銀河SOHO(2012年)などがあります。 ザハ・ハディドというと、2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の当初案もデザインしたものの、その後、総事業費の高騰が理由で白紙撤回されたことが記憶に新しいところですが、そうしたトラブルによるストレスも、今回の心臓発作の引き金の一つになったのではないかと思うと、日本人としては心が痛むところです。謹んでご冥福をお祈りします。 ★★★ 講座のご案内 ★★★ ・よみうりカルチャー荻窪 「宗教と国際政治」 4月から毎月第1火曜の15:30より、よみうりカルチャー荻窪(読売・日本テレビ文化センター、TEL 03-3392-8891)で講座「宗教と国際政治」がスタートします。ぜひ、遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の新刊 『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 2350円+税 【出版元より】 若く美しい女王の横顔に恋しよう! 世界最初の切手 欲しくないですか/知りたくないですか 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。 ★★★ 内藤陽介の新刊 『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 2000円+税 【出版元より】 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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