fc2ブログ
内藤陽介 Yosuke NAITO
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
World Wide Weblog
<!-【↓2カラムテーブルここから↓】-->
 台湾南部で大地震
2016-02-06 Sat 15:32
 きょう(6日)未明、台湾南部の高雄市美濃(台南の南東43km 付近)でマグニチュード6.4の地震が発生。現地時間の午前10時40分までに5人の死亡が確認され、8棟のビルが倒壊した台南だけで一時16万8000世帯が停電、40万世帯が断水するなどの大きな被害が出ています。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の方には心よりお見舞い申し上げます。というわけで、きょうはこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)

      台南・風景印

 これは、日本統治時代の台湾・台南で使われた風景印のオンピースです。台南の風景印は1932年1月1日から使用が開始され、この地の名所である赤崁楼が描かれています。

 17世紀に入り、東アジアに進出したオランダは澎湖を拠点に明朝と対立していましたが、1624年に両者の間で講和が成立。これを受けて、オランダは澎湖から撤退する代償として、台湾南部での商館および砲台の築城が認められ、現在の台南の基礎が築かれました。その中心になったのは一鯤鯓沙洲(現安平)のゼーランディア城(熱蘭遮城、現・安平古堡)であり、この城塞の東側には台湾街(現・延平街一帯)と普羅民遮街(現・民権路)が建設され、街区が整えられていきます。

 しかし、オランダ人は漢族移民や平埔族に対して過酷な統治をおこなったため、1652年、反オランダ暴動の郭懷一事件が発生します。事件そのものはすぐに鎮圧されましたが、オランダ川は事件の再発を防止するために普羅民遮街の北方に、周囲約141m、城壁の高さ10.5mのプロヴィンティア城(普羅民遮城)を建設しました。この城塞の現地名が赤崁楼(オランダ人が建築したことにちなみ“紅毛楼”とも)です。

 その後、1661年に鄭成功によりオランダ人が台湾から駆逐されると、普羅民遮城は東都承天府と改められ、台湾全島の最高行政機関となりました。しかし、鄭成功が1662年に亡くなると、後を継いだ鄭経は1664年に承天府を廃止。赤崁楼は火薬貯蔵庫として用いられるようになります。

 さらに、鄭政権の崩壊後、1721年に朱一貴が清朝に対して反乱を起こすと、赤崁楼の鉄製門額が武器鋳造の材料とされたほか、その後も人為的な破壊や台風・地震などの自然災害により、赤崁楼は大いに荒廃しましたが、19世紀後半になり、ようやく、かつての大士殿、海神廟、蓬壷書院、文昌閣、五子祠などが赤崁楼の跡地に再建されました。

 1895年に始まる日本統治時代には、当初、海神廟と文昌閣、五子祠は病院や医学生の宿舎として利用されていましたが、1921年、台湾総督府により大士殿の解体修復が行なわれた際、敷地内からオランダ時代の堡門や砲台跡が発掘されたことで、歴史館が設置されました。これが、現在の台南市立歴史博物館のルーツです。

 さて、台湾といえば、2011年の東日本大震災の際に、いちはやく篤い支援の手を差し伸べてくれたことは記憶に新しいところです。また、個人的にも、今回の地震で大きな被害が伝えられている台南と高雄には、僕も2008年のアジア切手展にあわせて行ったことがあり、風景印に描かれた赤崁楼も拝んできただけでなく、高雄で開催の切手展に出品したこともありますので、一日も早く被災地の復旧・復興が進むことを切にお祈りしております。


 ★★★ 講座のご案内 ★★★

 3月8日(火)から、毎月第2火曜の19時より、東京・竹橋の毎日文化センターで新講座「宗教で読む国際ニュース」がスタートします。都心で平日夜のコースですので、ぜひ、お勤め帰りに遊びに来てください。詳細は、こちらをご覧いただけると幸いです。

 * 諸般の事情により、スタートが1カ月遅くなりました。あしからずご了承ください。

 ★★★ 内藤陽介の新刊  『ペニー・ブラック物語』 のご案内 ★★★ 

       ペニーブラック表紙 2350円+税

 【出版元より】
 若く美しい女王の横顔に恋しよう!
 世界最初の切手
 欲しくないですか/知りたくないですか

 世界最初の切手“ペニー・ブラック”…名前は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという収集家も多いはず。本書はペニー・ブラックとその背景にある歴史物語を豊富なビジュアル図版でわかりやすく解説。これからペニー・ブラックを手に入れたい人向けに、入手のポイントなどを説明した収集ガイドもついた充実の内容です。

 発売元の特設サイトはこちら。ページのサンプルもご覧いただけます。


 ★★★ 内藤陽介の新刊  『アウシュヴィッツの手紙』 のご案内 ★★★ 

       アウシュヴィッツの手紙・表紙 2000円+税

 【出版元より】
 アウシュヴィッツ強制収容所の実態を、主に収容者の手紙の解析を通して明らかにする郵便学の成果! 手紙以外にも様々なポスタルメディア(郵便資料)から、意外に知られていない収容所の歴史をわかりやすく解説。

 出版元のサイトはこちら。各書店へのリンクもあります。

 インターネット放送「チャンネルくらら」にて、本書の内容をご紹介しております。よろしかったら、こちらをクリックしたご覧ください。


 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★

 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインよろしくポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。

別窓 | 台湾:日本統治時代 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑
<< 北朝鮮がミサイル発射 | 郵便学者・内藤陽介のブログ |  リオのカーニヴァル>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
<!-【↑2カラムテーブルここまで↑】-->
copyright © 2006 郵便学者・内藤陽介のブログ all rights reserved. template by [ALT-DESIGN@clip].
/