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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 三合会のボス
2014-10-13 Mon 23:38
 香港で、きょう(13日)、金鐘(アドミラルティ)地区を占拠していた民主派のデモ隊に対してマスクをした数十人の集団が突進。デモ隊側ともみ合いになり、香港警察は集団のうち2人を取り押さえる騒ぎがありました。 香港の民主派デモでは先日、旺角(モンコック)地区のデモ会場が“三合会”の総称で知られる犯罪組織の構成員らから襲撃される騒ぎが起きており、今回のマスク集団も三合会の関与が疑われています。というわけで、三合会といえば、この人でしょうか。

      鄭士良

 これは、1971年に台湾で発行された鄭士良の切手です。

 鄭は、清末の1863年、廣東省恵陽生まれ。早いうちにキリスト教に入信し、廣州礼賢学校で学んだ後、米国人宣教師が廣州で経営する博済医院付属の医科学校に入学し孫文の同級生となりました。その後、孫文は香港の西医書院(現・香港大学医学部)を卒業して1892年にマカオで医師として開業するのですが、この間も鄭との交流は続いており、彼らは、清朝政府を公然と批判し、当時、“四大寇”(4人の悪党)”に数えられていました。

 ところで、香港の三合会は、アヘン戦争後まもない1840年代初頭には成立していたと考えられています。いわゆる黒社会と呼ばれる犯罪組織ですが、三合会というのは、特定の団体のことを指しているというよりは、さまざまな組織・団体の集合名詞として用いられるのが一般的です。清朝の衰退が顕著になると、清朝に抵抗する革命運動とも結びつきを強め、理念としては、漢民族の復権と満州族の排斥、清朝の打倒等を掲げていました。

 今回ご紹介の切手に取り上げられている鄭士良は、その廣州支部長ともいうべき立場の人物で、医科学校卒業後は、淡水墟に同生薬房を開設し、そこを隠れ蓑にして武装蜂起の準備に参加。1895年には、香港で興中会支部を組織し、廣州での武装蜂起を計画しましたが、このときは事前に計画が漏洩し、未遂に終わっています。

 その後、1899年には興漢会設立に参加。1900年6月、義和団事件で北京が八カ国連合軍に占拠されると、10月、混乱に乗じて恵州三洲田で武装蜂起し、一時は新安、大鵬、平山を占拠しましたが、物資提供を約束していた日本政府の方針転換があって武器弾薬と食糧の調達が不可能となり、革命軍を解散して自らも香港への逃亡を余儀なくされました。1901年8月、香港で脳卒中により没。

 1911年の辛亥革命で清朝が倒れ、孫文ではなく袁世凱の北洋軍閥が中国大陸を掌握した後も、三合会は活動を継続していましたが、1949年、中国史上最強のマフィア組織ともいうべき中国共産党が大陸の大半を掌握すると、香港・マカオに活動の拠点を移して滑動していました。

 なお、三合会をはじめ、香港・マカオの黒社会については、以前、カジノ利権との絡みで拙著『マカオ紀行』でもその概要をまとめてみたことがありますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。


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