2013-01-14 Mon 16:20
本州の南海上を進む低気圧の影響で、成人の日のきょう(14日)は列島各地で大雪となりました。昨年より6日早く初雪を観測した都心でも午後2時の時点で7センチの積雪となったほか、関東甲信から北海道にかけて積雪が平年の2倍を超える地域が相次いでいます。各地の大雪は今後も続くようですから、皆様、十分にお気を付けください。というわけで、きょうは雪景色の切手の中からこの1枚です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1981年2月26日に発行された近代美術シリーズ第9集のうち、岡鹿之助の「雪の発電所」を取り上げた1枚です。 岡鹿之助は劇評家・岡鬼太郎の長男として、1898年、東京に生まれました。麻布中学校時代から岡田三郎助に素描を学び、東京美術学校西洋画科を卒業後、フランスに留学しました。1952年に芸術選奨文部大臣賞、1964年に日本芸術院賞を受賞し、1972年には文化勲章を受章しました。岡の作品は点描法が用いられているのが特色となっていますが、有名なジョルジュ・スーラの点描法が“視覚混合(キャンヴァス上に並置された異なった色の二つの点が、視る人の網膜上で混合し、別の色を生み出すという理論)”を応用したものであったのに対して、岡の点描法は同系色の点を並置する手法を用いています。 切手に取り上げられた「雪の発電所」は、雪の志賀高原を旅行していた際に目にした発電所の風景に題材をとったもので、1956年の現代美術日本展最優秀賞ならびに翌1957年の毎日美術賞を受賞した作品。現在はブリヂストン美術館の所蔵品です。 切手の製造に際しては、通常のグラビア印刷ではオリジナルの点描の雰囲気を再現することが困難なため、凹版単色の切手をイメージして印面全体を細かく彫刻し、そのうえで、グラビアと掛け合わせることでオリジナルに近い質感を出すという工程が採用されました。ちなみに、凹版部分の原版彫刻を担当したのは矢島栄ですが、この切手は彼の最高傑作と位置付けてよいように思います。 なお、この切手については、拙著『切手百撰 昭和戦後』でもご紹介しておりますので、機会がありましたら、ぜひご覧いただけると幸いです。 ★★★ テレビ出演のご案内 ★★★ テレビ朝日 2013年1月19日(土) 18:30~ 「雑学家族」 今回は「郵便」の特集で、内藤がゲスト出演して“切手の面白さ”をウンチクとともにお話します。ご視聴可能な地域の皆様は、ぜひ、ご覧いただけると幸いです。なお、放送番組の常として、大事故・大事件など突発的な事情により、番組の内容・放送時間等が変更になる可能性もありますが、予めご了承ください。(番組HPはこちらです) ★★★★ 第1回ヨーロッパ切手展のご案内 ★★★★ 今月19・20日(土・日)の両日、東京・目白駅の切手の博物館にて「第一回ヨーロッパ切手展」が開催されます。今回のお題は“黒海”で、内藤も、北カフカース(コーカサス)を題材としたミニ・コレクションを展示します。競争展ではないので、テーマティクないしは郵便史の作品としてルールに沿ってきっちりまとめたものというよりも、北カフカースに関するマテリアルをいろいろとご紹介するという気楽な内容です。僕以外のコレクションはかなり見ごたえのある内容になっておりますので、よろしかったら、ぜひ遊びに来ていただけると幸いです。 【世界切手展BRASILIANA 2013のご案内】 僕が日本コミッショナーを仰せつかっている世界切手展 <BRASILIANA 2013> の作品募集要項が発表になりました。国内での応募受付は2月1―14日(必着)です。詳細はこちらをご覧ください。 ★★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★★ 『喜望峰:ケープタウンから見る南アフリカ』 いままでなかった喜望峰とケープタウンの物語 美しい風景とウンチク満載の歴史紀行!! アマゾン、セブンネット、版元ドットコム、楽天ブックス、e-hon、hmv、honto、JBOOK、livedoor BOOKSなどで好評発売中! なお、本書をご自身の関係するメディアで取り上げたい、または、取り上げることを検討したい、という方は、是非、ご連絡ください。資料を急送いたします。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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