2006-02-27 Mon 23:27
今日(2月27日)は、1844年に中米のドミニカ共和国が隣国のハイチから独立した記念日だそうです。というわけで、3月8日付で刊行予定の拙著『これが戦争だ! 切手で読み解く』で取り上げたもののなかから、こんなドミニカ切手をご紹介したいと思います。
この切手は、1900年に発行されたもので、イスパニョラ島の地図が描かれています。なお、現在、この島は東側の3分の2をドミニカが、西側3分の1をハイチが、それぞれ領有しています。 さて、ハイチからドミニカが独立したという経緯もあって、両国の政府レベルでの関係はあまりよくありません。特に、ハイチのあまりにも過酷な生活を逃れて、ドミニカ側に流入する農民(ドミニカの生活1トンのサトウキビ刈り入れに対して2ドルの賃金というレベルですから、決して楽な生活ではないのですが)が後を絶たず、ハイチにしてみればドミニカは気に入らない存在です。 さて、仲の悪い隣国同士といえば、領土問題を抱えているのが常なわけで、ドミニカとハイチも例外ではありません。で、ハイチ側がこの切手に対して「ドミニカの主張は認められない!」と騒ぎ出し、両国はこれをきっかけに本格的な戦争に突入してしまいました。 まぁ、切手が戦争の引き金になった例というのはあまりないのですが、竹島切手の例を持ち出すまでもなく、領土問題を抱えている国が切手をもメディアとして活用し、自国の主張を内外に強くアピールしようとするのは、いまも昔も変わりません。 3月8日に刊行予定の『これが戦争だ! 切手で読み解く』(まだ、この本単独のページはできてないみたいです)の1章では、「この土地はわれわれのものだ!」と題して、今回の切手を含め、領土問題に関するさまざまなプロパガンダ切手をご紹介しています。早ければ、週末には一部書店の店頭に並ぶかとも思われますので、見かけた方は、是非お手に取ってご覧いただけると幸いです。 * 明日付の日記では、おそらく、表紙の画像をお見せできるかと思います。 |
初めてのコメント&トラックバック,しかも,1ケ月以上も前の記事に対してで失礼いたします。さらに,内容的にも内藤さんの記事にかぶってしまい誠に申し訳ありません。切手図案について自分なりに調べたことを記録に残す意味で,3月末からブログを開設しました。拙作,トピカル作品の「地図の役割」のストーリーから展開をはじめました。ネタ切れが心配ですが,今後ともよろしく御願いいたします。
#124 ありがとうございます
mapstampfan 様
コメントとトラックバック、ありがとうございます。 さて、ブログを拝見しました。中学生の娘にも読ませたくなるようなページで(もちろん、僕も読んで楽しいです)、リンクを貼らせていただきました。不都合があれば、ご連絡ください。 今後ともよろしくお願いします。 |
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