2011-12-13 Tue 23:47
パレスチナが国連教育科学文化機関(ユネスコ)に加盟したことを受け、きょう(13日)、パリのユネスコ本部にパレスチナの“国旗”が掲揚されました。国連機関に“加盟国”としてパレスチナの旗が掲げられるのは初めてのことです。というわけで、きょうはパレスチナ国旗を描いたこの切手です。(画像はクリックで拡大されます)
これは、昨年(2010年)、パレスチナ自治政府が発行した“ガザ封鎖に反対するパレスチナ人の断固たる意志”の小型シートです。シートには、ガザ地区の地図を背景にパレスチナ国旗を持つ人物のシルエットを描く2000フィルス切手が1枚収められていますが、シート全体としては、国旗を持つ子供たちの写真に目を奪われますな。 パレスチナ自治政府内部では、発足当初から、PLO傘下のファタハといわゆるイスラム原理主義勢力のハマスが対立し、各地で散発的な戦闘が発生していました。2007年6月、ハマスがガザを武力制圧すると、その対イスラエル強硬姿勢を懸念したイスラエルは、ガザへの人や物の出入りを従来にもまして厳しく制限。これに反発したハマスは、2008年1月9日、アメリカのブッシュ大統領のイスラエル・パレスチナ歴訪も合わせてイスラエルへのロケット弾攻撃を敢行し、イスラエルがその報復としてガザを完全封鎖するという事態になりました。 その後、イスラエルとガザのハマス政権との間では散発的に戦闘が繰り返されており、イスラエル側は一時的に封鎖を緩和することもありましたが、基本的には、ガザとの境界、総延長75キロを高さ数メートルの金網フェンスやコンクリート壁で封鎖。ガザへの人や物の出入りをエジプト側のラファを含め計5カ所の検問所に限定し、軍の監視の下、人道支援物資の搬入や農産物など一部の搬出入のみ(国連パレスチナ難民救済事業機関:UNRWAによると、1日あたりトラック100台分程度だそうです)を認めるだけという状況が続いています。 今回ご紹介の切手は、こうした状況の下、パレスチナ自治政府としてイスラエルによるガザ封鎖に抗議し、これに屈しないという意思を示すために発行されたもので、その象徴としての国旗の使われ方が実に印象的なデザインです。こういうデザインを見ると、あらためて、どんな国の国旗も丁重に扱わねばならないということを実感させられますな。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 年賀状の戦後史 角川oneテーマ21(税込760円) 日本人は「年賀状」に何を託してきたのか? 「年賀状」から見える新しい戦後史! ★ TBSラジオ・ニュース番組森本毅郎・スタンバイ(11月17日放送)、11月27日付『東京新聞』読書欄、『週刊文春』12月1日号、12月1日付『全国書店新聞』、『週刊東洋経済』12月3日号、12月6日付『愛媛新聞』地軸、同『秋田魁新報』北斗星、TBSラジオ鈴木おさむ 考えるラジオ(12月10日放送)、12月11日付『京都新聞』、同『山梨日日新聞』みるじゃん、『サンデー毎日』12月25日号で紹介されました。 amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoor BOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、 セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! ★★★ 好評既刊より ★★★ ハバロフスク(切手紀行シリーズ④) 彩流社(本体2800円+税) 空路2時間の知られざる欧州 大河アムール、煉瓦造りの街並み、金色に輝く教会の屋根… 夏と冬で全く異なるハバロフスクの魅力を網羅した歴史紀行 シベリア鉄道小旅行体験や近郊の金正日の生地探訪も加え、充実の内容! amazon、bk1、e-hon、HMV、livedoorBOOKS、紀伊國屋書店BookWeb、セブンネットショッピング、楽天ブックスなどで好評発売中! |
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