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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 仏領南極の犬ぞり
2006-01-21 Sat 15:50
 東京では今日は朝から雪が降っています。そこで、今日は雪にまつわる切手の中から、こんな1枚(画像はクリックで拡大されます)を引っ張り出してみました。

南極の犬ぞり

 この切手は、いわゆる仏領南極が1983年に発行したもので、南極の雪原を走る犬ぞりが描かれています。

 20世紀に入り、南極探検が盛んに行われるようになると、イギリス・フランス・ノールウエー・オーストラリア・ニュージーランド・アルゼンチン・チリの各国は、自国の探険・踏査の事実を踏まえ、自分たちが調査した地域の領土権を主張しはじめます。彼らの狙いは、南極の土地そのものというより、豊富な地下資源や領海内の水産資源にありました。

 フランスの場合、1955年に“フランス南部および南極領土(Territoire des Terres Australes et Antarctiques Françaises 以下、仏領南極)”を設定しました。その範囲は、アムステルダム島、セント・ポール島、クロゼット島、ケルゲレン島と大陸のアデリーランドです。

 仏領南極の領有を宣言したフランスは、1955年中には早速、この地域用の切手を発行しています。もっとも、このとき発行された仏領南極最初の切手は、当時フランス領だったマダガスカルの切手に“Territoire des Terres Australes et Antarctiques Françaises”の文字を上から加刷したもので、正刷切手(オリジナルデザインの切手)の発行は翌1956年からになります。

 当時の南極では、イギリス・チリ・アルゼンチンの三国の間で領土紛争が起こったこともあり、将来的に本格的な紛争の火種になりかねないことが懸念されていました。このため、1957年~58年の国際地球観測年のときの国際的な南極観測を契機に、国際対立を回避し、科学的調査のための平和的な場にしようとする気運が高まり、1959年、国際地球観測年の南極観測に参加した12ヶ国がワシントンで南極会議を開き、南極条約を締結しています。条約では、南緯60度以南の南極における領土権の凍結、科学的調査の自由、平和的利用と非軍事化、定期的会合と査察などが定められ、フランスが研究所を置いているアデリーランドの領有権も凍結されました。

 仏領南極は基本的には無人の火山島ですから、これらの切手は実際に郵便に使うものというより、この地域の領有権を示すためのプロパガンダの一手段と考えるのが妥当です。もっとも、そういう生臭い話を別にしても、純粋に仏領南極の切手はデザイン・印刷ともに良くできた綺麗なものが多いので、集めてみると楽しいものです。

 実は、今日ご紹介している切手は、一時期、今年の年賀状の題材として使おうかと思っていたのですが、結局、使わずに終わってしまいました。(実際に僕が出した年賀状については、こちらをご覧ください)

 とはいえ、綺麗な切手なので、どこかで使えないかなと思っていましたので、雪の日の今日のコラムとしてご紹介したという次第です。

 PS 今日はこんな出来事もあったみたいです。

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