2006-01-10 Tue 23:39
小泉首相がトルコを訪問してエルドアン首相と会談したそうです。新聞などによると、今回の首脳会談は「イラクの民主化や復興支援、イスラエルのシャロン首相の容体悪化で不透明感が増している中東和平で連携強化を確認する」のが最大の目的とか。
ところで、現在でこそ、トルコ、イスラエルまたはパレスチナとイラクは別々の国に分かれていますが、第一次大戦以前は、これらの地域はいずれもオスマン帝国の支配下におかれていました。 たとえば、下の葉書を見ていただきましょう。(画像はクリックで拡大されます) この葉書は、1898年10月、エルサレムからミドルエセックス(英)宛に差し出されたものです。当時、エルサレムを含むパレスチナはオスマン帝国の領土でしたから、当然のことながら、この地域の郵政は原則としてオスマン帝国が担当し、この地域ではオスマン帝国の切手が使われていました。なお、この葉書に押されている消印は、1998年10月31日から11月2日にかけて、ドイツ皇帝のエルサレム訪問にあわせて、一種の記念印として用いられたもので、個人的には、“CAMP IMPERIAL”の表示が入った独特のスタイルが気に入っています。 11日から東京・目白の“切手の博物館”で開催の<中近東切手コレクション展>には、僕はアラブの近現代史をたどるミニコレクションを出品していますが、この葉書は、その冒頭に展示しているものです。欲を言うと、アラブの主要都市で使われたオスマン帝国の切手・葉書類を網羅的に展示できればよかったのですが…まぁ、それは又の機会にしましょう。 なお、今回の展覧会では、日本女子大学4年生の手塚育美さんが「ケマル・アタテュルクとその時代」と題して、ケマルを狂言回しにオスマン帝国からトルコ共和国への変遷をたどる作品を出品しています。切手によるトルコ近現代の歴史絵巻として見ごたえのある作品ですので、ぜひとも、一人でも多くの方にご覧いただけたら、と思っております。 また、会場では、会期中の14・15日(土・日)の両日、14:00~と15:30~の2回、僕が展示解説を行います。 つきましては、<中近東切手コレクション展>に一人でも多くの皆様がご来場いただきますよう、心よりお待ち申しております。 *<中近東切手コレクション展>の詳細については、http://yushu.or.jp/museum/toku/をご覧ください。 |
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