2006-01-09 Mon 23:30
切手収集の世界の用語でマキシマムカード(以下、MC)というものがあります。辞書的に説明すると、「切手と共通の、あるいは関連がある絵はがきに切手を貼り、記念消印を押したもの」ということになりましょうか。
現在では、新切手が発行されたときに作られるもの、というイメージが強いMCですが、そもそもは、まったく別の関心から発生してきたものといわれています。つまり、19世紀末から20世紀初頭にかけてエジプトを旅行した欧米人たちが、スフィンクスとピラミッドを描く当時のエジプト切手を見て、絵葉書と同じ(あるいは似たような)デザインとなっていることを面白がって絵面に切手を貼って差し出したのがMCのルーツだというのです。 画像(クリックすると拡大されます)は、そうした初期のMCの実例で1902年、ファクースからカイロを経てマルセイユまで送られたものです。たしかに、こんな感じの切手と絵葉書なら、普段は切手に関心のない人でも、旅の思い出にセットにして差し出してみたくなるのも分からなくありません。 当時、この手のスフィンクスのMCは大量に作られたはずなのですが、現在では、いざ探そうとするとなかなか見つからないようです。 今回ご紹介しているスフィンクスのMCは、今週水曜日(11日)から東京目白の“切手の博物館”で開催の<中近東切手コレクション展>で展示するマテリアルの一つですが、それとは別に、同展では、鈴木瑞男さんによるエジプトのスフィンクス切手の専門的なコレクションも展示されます。なかなか、普段はまとまって展示されることの少ない切手ですから、是非、この機会にご覧いただけると幸いです。 なお、<中近東切手コレクション展>の詳細については、http://yushu.or.jp/museum/toku/をご覧ください。 PS 会期中の土日(14・15日)の午後には、僕が簡単な展示解説を行います。 |
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