2011-03-23 Wed 13:32
きょう(23日)は世界気象デーです。というわけで、この切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1965年にシリアで発行された世界気象デーの切手で、シリアの地図に等圧線と風向計を配したデザインとなっています。 世界気象デーは、1950年3月23日に世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)条約が発効したことを記念し、1961年に制定されました。今年でちょうど50周年ですな。ちなみに、WMOは、世界的な気象網の整備と関連する用語・観測基準などの統一を図り、合わせて気象学の研究・教育を推進するための国際組織で、わが国は1953年に加入しています。 さて、今回ご紹介の切手を発行したシリアですが、今月18日から南部のダルアーを中心に、アサド父子による長期独裁体制の打倒を訴える大規模な反政府デモが続けられており、情勢が不安定化しています。ちなみに、そのダルアーは、切手に取り上げられた地図でいうと、印面下部の英文表示“WORLD”のDの文字の真上、南西部の国境付近に位置しています。 シリアは秘密警察網が非常に発達した国で、数万人規模の公安スタッフによる住民監視が徹底していることでも知られていますが、その組織については、同じく一族支配の独裁国家・北朝鮮(余談ですが、シリアと北朝鮮の関係は極めて良好です)の治安システムを参考にして構築されたとも言われています。そうした厳しい統制をかいくぐって大規模な反政府デモが発生したということは、チュニジアに端を発したジャスミン革命のインパクトがそれだけ大きく、シリアさえもそこから逃れられなかったということなのでしょう。 ただ、アサド以前のシリアは、クーデターが頻繁に発生し、政情が一向に安定しない国でしたから、今後、強権的なアサド体制が一挙に崩壊してしまうと、安定した民主政権は成立せずに混沌とした状況に陥る可能性は大いにあります。かつて、ダマスカス(現シリア共和国の首都)で大法官を務めたイブン・ジャマーアの「40年間の専制は1時間の無政府状態より良い」との言葉を残しました。仮に、40年を超えるアサド独裁体制が崩壊した場合、シリア国民がこの言葉を思い起こして後悔することのないよう、祈るばかりです。 【無錫アジア展のご案内】 僕が日本コミッショナーを仰せつかっているアジア国際切手展 <China 2011> の作品募集要項が発表になりました。くわしくはこちらをご覧ください。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ マカオ紀行:世界遺産と歴史を歩く 彩流社(本体2850円+税) マカオはこんなに面白い! 30の世界遺産がひしめき合う街マカオ。 カジノ抜きでも楽しめる、マカオ歴史散歩の決定版! 歴史歩きの達人“郵便学者”内藤陽介がご案内。 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、boox store、coneco.net、DMM.com、HMV、JBOOK、livedoor BOOKS、Yahoo!ブックス、カラメル、紀伊国屋書店BookWeb、ゲオEショップ、ジュンク堂、セブンネットショッピング、丸善、楽天ブックスなど)で好評発売中! |
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