2011-01-16 Sun 22:42
1987年11月以来23年以上にわたってチュニジアで大統領の地位にあったザイン・アービディーン・ベン・アリーが、1月14日、大規模な反政府デモに抗しきれずサウジアラビアに亡命。翌15日、同国憲法の規定に従い下院議長が暫定大統領となり、大統領選が60日以内に行われることになりました。というわけで、きのうの公約通り、きょうはこんな切手をもってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、昨年(2010年)、チュニジアで発行された「チュニジア:テクノロジーの極」と題する切手で、チュニジアがインターネットや電子メール等の情報通信の環境が整備された国であることをアピールする内容となっています。 さて、チュニジアといえばアラブ世界では親欧米国家というイメージで語られることが多いのですが、ベン・アリー政権はテロリズムの阻止と斬新的民主化という大義名分の下、いわゆるイスラム原理主義のみならず、権力に批判的なあらゆる運動や団体を弾圧してきました。 政変の原因となった反政府デモは、昨年12月、中部のシディブジッドで警察の取り締まりに抗議する若者が焼身自殺をはかったことなどをきっかけに、高失業率や物価上昇に不満を抱く市民のデモや暴動が拡大。年明けには、治安部隊の発砲で約20人の死者がでたことでデモが拡大し、大統領の辞任を求めるようになっていました。 今回の反政府デモの特徴は、フェイスブックなどインターネットを通じて、国民がデモ開催や警察の取り締まりを巡る情報を共有し、規模を拡大していった点にあるとされていますが、そうだとすると、ネット環境の整った国とベン・アリー政権が切手を通じて胸を張っていた状況が、皮肉なことに、彼らの首を絞める結果になったと言えそうです。 まぁ、わが国でも、昨年の尖閣ビデオが最初に“流出”したのは、新聞やテレビなどではなく、ネット上のYoutubeでしたからねぇ。政治の世界でも、ネットの持つ影響力は今後ますます強まるのは避けられないでしょう。 現在の日本の公職選挙法では、選挙運動中に候補者がブログを更新することさえ認めていないため改正を求める声も多いのですが、まぁ、既存の権力者の側からすると、自分たちの地位を脅かしかねない新規参入というのは阻止したいでしょうから、なかなか改正は実現しないでしょうな。もっとも、そういう人たちはいずれ、彼らがバカにしているネットの世論によって、その地位を追われるということにもなるんでしょうけれど。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ マカオ紀行:世界遺産と歴史を歩く 彩流社(本体2850円+税) マカオはこんなに面白い! 30の世界遺産がひしめき合う街マカオ。 カジノ抜きでも楽しめる、マカオ歴史散歩の決定版! 歴史歩きの達人“郵便学者”内藤陽介がご案内。 全国書店・インターネット書店(amazon、bk1、boox store、coneco.net、DMM.com、HMV、JBOOK、livedoor BOOKS、Yahoo!ブックス、カラメル、紀伊国屋書店BookWeb、ゲオEショップ、ジュンク堂、セブンネットショッピング、丸善、楽天ブックスなど)で好評発売中! |
#1926 権力者とバカマスコミが嫌うネット
玉石混交の情報が行き交うとはいえ、様々な情報が流れるネットは不都合な情報はなるべく隠しておきたい権力者にとっては厄介な存在でしょう。先の尖閣ビデオやウィキリークスによる情報漏洩に対する権力者の慌てぶりはそれをよく表しています。さらに権力者と並んでネットを嫌うのはバカマスコミです。ネットの出現以前は情報を一方的に発信出来たのはマスコミだけでしたが、今や一般市民も様々な手段で情報を発信出来るネットはマスコミの威信や必要性を大きく低下させています。かつてあの筑紫哲也はネットを“便所の落書き”と目の仇にしていましたが、今やバカマスコミはその“便所の落書き”を当てにし、後追いするメディアに成り下がりつつあります。
#1931 コメントありがとうございます
アルファ様
便所落書きといえば、常に疑問に思っているのですが、あの落書きをしている人たちは最初から落書きをするつもりでペンをもってトイレに入るのでしょうかねぇ。すみません。尾籠な話で。 |
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 郵便学者・内藤陽介のブログ |
|