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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 ポーランドのラクダ
2010-07-06 Tue 11:39
 4日(現地時間)に投票が行われたポーランドの大統領選挙は、与党「市民プラットフォーム」のコモロフスキ下院議長が当選を決めました。新大統領は、前政権の“愛国主義”を排して国際協調路線をとるのだそうです。というわけで、きょうはポーランドの国際協力にからんで、こんなモノを持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      シナイ半島PKO(ポーランド)

 これは、1977年、シナイ半島のPKOに参加したポーランド軍の野戦局から差し出されたカバーです。エジプトをイメージしたピラミッドとラクダのカシェが、なんともユーモラスで良い感じです。

 1967年の第3次中東戦争でエジプトはイスラエル相手に大敗を喫し、シナイ半島を失います。このため、1970年に発足したサダト政権は、短期決戦でイスラエルに軍事的な大打撃を与えて大国による和平の仲介を引き出し、シナイ半島を奪還するというプランを立てます。

 こうして、1973年10月6日、エジプト・シリア連合軍がイスラエルに対して総攻撃を開始し、第4次中東戦争が勃発。開戦当初の三日間、エジプト軍はイスラエルに対する大規模攻撃を展開し、スエズ運河を渡河して、イスラエルの航空機50機と戦車550両を撃破するという華々しい戦果を挙げました。

 アラブ側の優位は長くは続きませんでしたが、サダトの思惑通り、米ソが介入して10月22日には国連安保理で停戦決議(決議第338号)が採択されます。そして、停戦決議を受けて、12月22日、米ソ両国の主導により、ジュネーブで中東和平会議が開かれ、アメリカの国務長官だったキッシンジャーは、スエズ運河周辺とゴラン高原でアラブ、イスラエル両軍の兵力を引き離すための協定締結に向けて合同委員会を設置することを提案しました。

 これを受けて、1974年1月18日、①40日以内に、イスラエルがスエズ西岸の橋頭堡を放棄し、スエズ東岸で運河から約20マイル撤兵する、②エジプトは東岸に一定の兵力を維持する、③両軍の間を国連の休戦監視軍がパトロールする、というシナイ半島の兵力分離協定が調印されました。今回ご紹介のカバーのポーランドPKO部隊は、こうした状況の下で派遣されたものです。

 こうして、外交努力によるシナイ半島の奪還という目標が徐々に達成されつつあるのを確認したサダトは、イスラエルに対する融和的な姿勢を強め、1978年9月、イスラエル首相のベギンとキャンプデービッド合意を結び、シナイ半島回復の悲願を達成しました。しかし、第3次中東戦争以来、イスラエルの占領下に置かれていたヨルダン側西岸とガザ地区に関してはイスラエル側の主張を追認せざるを得なかったことで、サダトは、自国の利益のためにパレスチナをイスラエルに売り渡したものとして、エジプトを除く全アラブ諸国から激しく非難され、周辺諸国から完全に孤立してしまいます。そして、1981年10月6日、第4次中東戦争の戦勝八周年記念式典で軍事パレードを閲兵中、イスラム原理主義運動の信奉者によって暗殺されるという悲劇的な結末を迎えることになりました。


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