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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 国より党が大事
2009-08-18 Tue 10:13
 今月8日に鹿児島県内で行われた民主党の衆院選立候補予定者の決起集会で、会場に掲げられた民主党のマークが国旗を切り貼りして作られたものだったことが明らかになり、問題となっています。(下の画像左:以下、画像はクリックで拡大されます)というわけで、日本の民主党ではありませんが、党旗を取り上げた切手ということで、この1枚(下の画像右)を持ってきました。

 国旗切り貼り   中国共産党80年

 これは、2001年に中国で発行された“中国共産党(以下、中共)成立80年”の記念切手で、中共の党旗が大きく描かれています。

 あらためて言うまでもないことですが、現在の中華人民共和国という国は中共の一党独裁体制を取っています。かつては、ナチス・ドイツやソ連、東欧共産諸国、サダム・フセイン政権下のイラクなど、政治制度として一党独裁体制を取っている国は少なからずありましたが、現在では中国の他は、北朝鮮(朝鮮労働党)、ベトナム(ベトナム共産党)、ラオス(ラオス人民革命党)、シンガポール(人民行動党)、ビルマ(国家平和発展評議会)、シリア(バアス党)、キューバ(キューバ共産党)など8ヶ国のみとなっています。なお、日本のいわゆる55年体制のことを自民党の一党独裁体制と称する人がときどきいますが、わが国の場合は、複数の政党が選挙で争った結果、自民党が政権を独占し続けてきたというだけで、制度として野党の存在や活動が禁止ないしは制限されていたわけではありませんので、一党独裁制というのは適切ではありません。

 さて、一党独裁制の下では、党が政府や軍を指導するという形態を取っています。中国の人民解放軍が、もともとは、中共の軍隊として出発したことはその象徴的な事例です。また、北朝鮮との外交交渉がしばしば混乱するのも、政府と党の関係が一党独裁体制とその他の通常の国とでは大きく異なっていることが一因となっています。すなわち、北朝鮮では朝鮮労働党の決定はそのまま政府の決定となりますが、他の国では、与党の決定が必ずしもそのまま政府の政策になるわけではありません。わが国の例でいえば、絶頂期の田中角栄であっても、彼の一存だけで閣議決定をひっくり返すのはほとんど不可能でした。

 また、かつて、北朝鮮は自民党の実力者であった金丸信個人を呼び出していろいろと交渉しましたが、これは、政権党の実力者との了解事項はそのまま政府の方針になるはずだという彼らの発想を反映したもので、金丸がどれほど自民党内における政治的発言力を持っていようとも、彼の一存で日本の外交政策がすべて決定されることなどあり得ないということが(理屈としてはわかっていても)感覚的に理解できなかったことによるものでしょう。

 さて、今回問題となった会場の写真を見る限り、国会議員選挙の決起集会ではあるものの、党旗が掲げられているにもかかわらず、国旗は掲揚されていないようです。したがって、この集会を主催した関係者は、国よりも党の方が重要であるという認識を持っているように思われます。じっさい、今回の一件に関して、同党の鳩山由紀夫代表は、国旗の棄損については「そんなけしからんことをやった人間がいるとすれば、大変申し訳ない」と謝罪したものの、党旗について「我々の神聖なマークなので、マークをきちんと作らなければならない話だ」と述べていますが、この報道を見る限り、僕は、彼らが国旗よりも党旗の方が重要であると考えているかのような印象を受けますねぇ。

 まぁ、現在の民主党の中には、かつて、ソ連をはじめとする共産主義諸国に憧れを抱いていた旧社会党のメンバーも少なからず含まれていますので、彼らの発想からすると、一党独裁体制にならって国(政府)よりも党が大事というロジックは自然に導かれるということなのかもしれませんな。

 そういえば、共産圏では、異論を圧殺するための独裁体制のことを“民主集中制”といっていましたっけ。きょう(18日)公示された総選挙で民主党に票が集中することが、左翼的な意味での民主集中制につながることだけは、ほんと勘弁してもらいたいものです。


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この記事のコメント
#1519 責任は、自民党にあり。
民主党とは、所詮、旧社会党が衣替えしただけです。国旗の件にかぎらず、朝鮮人参政権、追悼施設建設など、まともな政策はひとつもありません。党幹部は、なにやらアメリカ民主党に擬えているようですが全然違いますね。非常に危険な党です。ただこれも元はといえば自民党の責任です。政権を維持する為だけに保守とは無縁な政党と連立したり、売国奴を総理や議長にする。憲法、領土など面倒なことは全部先送り、そして官僚任せ。こういう無定見なことを繰り返してきた付けが回ってきたんです。自民党がその綱領どうりの本当の保守政党であればこんな政党が伸びることも無いでしょうから。戦後日本の最大の悲劇は、まともな政党が一つも無かったことでしょう。
2009-08-18 Tue 15:49 | URL | 一匹狼 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 一匹狼様

 常々思っていることですが、このような国会議員を選んだのは国民の責任だという批判は、半分は妥当ですが、半分は不当だと思っています。

 そもそも、国会議員というのであれば、国家全体の代表でなければならないわけで、特定の地域や集団の利害を離れて国家全体のことを考えるのが責務のはずです。しかしながら、現実には選挙区や支持組織に対する利益誘導をしなければ当選できないため、国家・国民のためという大義名分通りに活動することは困難です。

 国会議員がほんとうに国民全体の代表だというのなら、議員本人ならびに3親等以内の親族は、一度でも当選したら同一選挙区からは50年間、同一都道府県内からは30年間、同一ブロック(近畿と関東とか、そのレベル)では20年間、立候補を禁止したうえで、現職議員の再選に関しては、コンピューターによる無作為抽選で選挙区を決めるくらいのことをやらないとダメでしょう。もちろん、比例代表制度は廃止です。官僚や金融機関の人間は癒着を防ぐために全国各地の転勤を繰り返すのですから、国会議員にも“地盤”を作らせるべきではないのです。

 地域の代表が必要というのなら、それは、国政連絡担当の副知事として、都道府県ごとの知事選挙と同時に選べばよいと思います。任期は知事と同じで再選は禁止。参議院はそうした副知事によって構成すれば十分でしょう。

 暴論と思われるかもしれませんが、豊臣政権から徳川幕府初期においては、大名の国替えが盛んに行われていたわけですし、藩の大使のような存在として江戸詰家老というのもいたわけですから、日本の伝統的なシステムに戻すと考えれば、それほど突拍子もない案ではないと思いますが、いかがでしょう。

 まぁ、現実には僕のプランというのは実現不可能でしょうが、それだったら、せめて、国会議員のリコール制度を作らなければなりません。特定の地域や集団にとっては有益であっても、国家全体からみれば有害な政治家を国民の医師として排除する仕組がない限り、国会議員が国民の代表というのは、偽善以外の何物でもないように思います。
2009-08-27 Thu 11:35 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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