2009-02-12 Thu 18:05
きのうは日本の建国記念日であると同時に、イランの革命記念日でした。ことしは1979年のイスラム革命から30周年という節目の年でもありますので、こんなモノをもってきてみました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、革命直後の1979年6月14日、タブリーズからニューヨーク宛に差し出された書留便で、6月29日付のニューヨークの到着印も押されています。 1979年2月11日の王制崩壊を受け、同年3月の国民投票により、イラン・イスラム共和国が発足。イスラム共和国は、はやくも4月20日には革命の成功を祝う記念切手を発行します。同時に、国王の肖像の入った旧来の切手はその肖像部分が抹消され、王制の崩壊と新政権の樹立が切手上においても高らかに宣言されることになりましたが、それと並行して、公衆手持ち分に関しては、王制時代の切手もしばらくは有効とされていました。今回ご紹介のカバーもそうした過渡期の使用例で、すでに革命政権による肖像抹消切手が発行されいたにもかかわらず、国王の肖像やシルエットの入った切手が堂々と使われています。 1979年2月のイスラム革命は、開発独裁政策を進めてきた親米パーレビ体制に対する不満が爆発したものでした。このため、パーレビ王制崩壊後、国民の矛先は旧王制を支え続けてきたアメリカへも向かうことになります。そして、亡命中の国王が治療を名目にアメリカに入ったことで、急進革命派の反米感情は沸騰。1979年11月、国王の身柄引渡しを求めて急進派学生らがテヘランのアメリカ大使館を占拠する事件が発生。これを機に、対米関係は修復不可能なものとなりました。 なお、イラン・イスラム革命と切手や郵便との関係については、拙著『反米の世界史』でもまとめてみたことがあります。同書は現在、版元品切れ・重版未定の状況ですが、機会がありましたらご覧いただけると幸いです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 ★★★ 誰もが知ってる“お年玉”切手の誰も知らない人間ドラマ 好評発売中! 『年賀切手』 日本郵趣出版 本体定価 2500円(税込) 年賀状の末等賞品、年賀お年玉小型シートは、誰もが一度は手に取ったことがある切手。郷土玩具でおなじみの図案を見れば、切手が発行された年の出来事が懐かしく思い出される。今年は戦後の年賀切手発行60年。還暦を迎えた国民的切手をめぐる波乱万丈のモノ語り。戦後記念切手の“読む事典”<解説・戦後記念切手>シリーズの別冊として好評発売中! 1月15日付『夕刊フジ』の「ぴいぷる」欄に『年賀切手』の著者インタビュー(右上の画像:山内和彦さん撮影)が掲載されました。記事はこちらでお読みいただけます。 もう一度切手を集めてみたくなったら 雑誌『郵趣』の2008年4月号は、大人になった元切手少年たちのための切手収集再入門の特集号です。発行元の日本郵趣協会にご請求いただければ、在庫がある限り、無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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