2008-04-22 Tue 11:46
今日(4月22日)はアースデイ。というわけで、先日刊行の拙著『近代美術・特殊鳥類の時代』の中から“地球”に関するものということで、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1979年10月13日に発行された「国際電気通信連合加盟(ITU)100年」の記念切手で、光ファイバーで表現したITUの文字と地球がデザインされているそうです。もっとも、この切手の“地球”には地図なり雲なりが描かれているわけではないので、説明を受けないと、ちょっとわかりづらいですな。ちなみに、1979年当時、中学1年生だった僕は光ファイバーなるものを知りませんでしたので、“ボールと縄とび”の切手がITUとどう関係があるのか、かなり悩んだ記憶があります。 さて、電気通信に関する本格的な国際機関のルーツは、フランス政府の提案で1865年に創設された(実施は1866年1月1日から)万国電信連合ですが、わが国と同連合との関係は、1872年、ローマで開催された第3回万国電信会議にロンドン駐在の権大書記・塩田三郎が出席したところからはじまります。その後、1875年にロシアのサンクトペテルブルクで開催された第4回会議へのオブザーバー的な参加を経て、1887年3月、日本政府はロシアの駐日臨時代理公使、ロマン・ロマノヴィッチ・ローゼンを通じてロシアに連合加盟の仲介を依頼。1889年1月29日に正式に条約への加盟を果し、同年10月13日、条約への加盟が正式に日本国民に対して公布されました。 当時の万国電信連合は、電話を含む有線電信全般をカバーしてはいたものの、無線電信については、発展途上を理由に、その対象外となっていました。このため、1906年のベルリン条約に基づいて国際無線電信連合が発足。日本は同連合に1913年に加盟しています。 この国際無線電信連合は、1932年にマドリードで締結された国際電気通信公約により、万国電信連合と合併。有線・無線を問わず、電気通信事業全般の国際協力機関として、現在の国際電気通信連合となりました。 さて、今回ご紹介の切手に取り上げられている光ファイバーは、もともとは1951年に内視鏡用として開発されたものですが、1971年にアメリカのコーニング社はこれを改良して、1km先に1%の光が届く水準のものを完成。現在の通信機材としての光ファイバーの本格的な歴史が幕を開けることになります。 これを機に、光ファイバーの改良は一挙に進み、1974年には、やはりアメリカのベル研究所によって1km先に78%の光が届く水準のものが完成。さらに、ベル研究所がその製法を公開したことで、1979年には日本の電電公社(当時)が、1km先に95%の光が届き、かつ遥かに生産効率の優れる独自の製法を生み出しています。 したがって、今回の切手を発行するにあたって、郵政省としては、何としても日本が世界に誇る最先端の光ファイバーの技術を切手に盛り込みたかったのでしょうが、光ファイバーの外観そのものはなんといっても地味ですからねぇ。デザイナーの久野実も相当苦労したんじゃなかろうかと思います。 なお、この切手が発行される25年前の1954年には加盟75年の記念切手が発行されていますが、こちらについては、<解説・戦後記念切手>シリーズの第2巻『ビードロ・写楽の時代』をご覧いただけると幸いです。 イベントのご案内 4月26日(土)13:00より、東京・浅草の都立産業貿易センター台東館にて開催のスタンプショウ’08会場内にて、拙著『近代美術・特殊鳥類の時代』の刊行を記念してトークイベントを行います。入場は無料で、スタンプショウ会場ならではの特典もご用意しておりますので、是非、遊びに来てください。皆様のお越しを心よりお待ち申しております。 雑誌『郵趣』を読んでみませんか 無料でサンプルをお送りしております。くわしくはこちらをクリックしてください。 |
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