2015-07-18 Sat 04:18
かねてご案内の通り、現在、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開催中の日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展(以下、韓国切手展。全日本切手展=全日展と併催)会場内にて、本日11:00より展示解説を、16:00より「切手と郵便に見る韓国現代史と日本」と題する記念講演を行います。というわけで、展示解説の予告編として、韓国切手展の目玉の1点をご紹介します。
これは、1879年、釜山からパリ宛に差し出された郵便物で、朝鮮半島から差し出された切手貼りの郵便物としては、現存最古のモノです。 江戸時代、徳川幕府と朝鮮王朝(李氏朝鮮)とは、対馬の宗氏を仲介役として良好な外交関係を築いていました。しかし、徳川幕府に代わり日本の支配者となった明治新政府と朝鮮との関係は波乱の幕開けとなりました。 すなわち、維新直後の1868年、明治政府は朝鮮側に対して文書で政権の交代を通告しましたが、その文書中、日本側は天皇親政の文書形式に従って「皇」「勅」などの文字を用いました。ところが、これらの文字を、宗主国である清朝の皇帝とその命令の意味で用いていた朝鮮側は「日本の新政府は従来の友好関係を破棄して朝鮮の上に立とうとしている」と言い出して、日本側の文書を受理しませんでした。 その後、1875年9月、いわゆる江華島事件(朝鮮沿岸での日朝間の武力衝突事件)が発生すると、明治政府は朝鮮側に圧力を加え、翌1876年2月、日本側の治外法権等を認めさせた日朝修好条規(大日本朝鮮修好条規)を締結。こうして、長年の懸案だった日朝間の国交問題は、日本側が不平等条約を朝鮮に結ばせて開国させるというかたちで決着しました。 日朝修好条規の締結に伴い、日本は釜山に居留地を獲得し、1877年、居留地内に郵便局を開設します。この日本局の活動が、朝鮮において近代郵便が実施された最初の事例となりました。 今回ご紹介のカバーは、その釜山の日本郵便局から1879年に差し立てられたもので、長崎、上海を経てパリまで届けられたもので、現在確認されている限り、朝鮮半島で差し出された切手貼りの郵便物としては最も古いものとされています。 今回の韓国切手展では、2010年にバンコクで開催されたアジア国際切手展<BANGKOK 2010>でグランプリを受賞し、その後、さらにパワーアップして2014年にソウルで開催された世界切手展<PHILAKOREA 2014>で大金賞を受賞した井上和幸さんのコレクションも展示されますが、この封筒は、その冒頭に展示されています。また、以前の記事でもご紹介したように、併催の全日本切手展では、日本の近代郵便において、切手を貼った最古の郵便物も展示されていますので、日本と朝鮮半島の最古の郵便物が会場内でそろい踏みということになりました。ぜひ、会場にお運びいただき、実物を直接ご覧いただけると幸いです。 ★★★ 全日本切手展+韓国切手展のご案内 ★★★ 7月17-19日(金ー日) 東京・錦糸町のすみだ産業会館で全日本切手展(全日展)ならびに日韓国交正常化50周年記念・韓国切手展が開催されます。詳細は、主催団体の一つである日本郵趣連合のサイト(左側の“公式ブログ”をクリックしてください)のほか、フェイスブックのイベントページ(全日展はこちら、韓国切手展はこちら)にて、随時、情報をアップしていきますので、よろしくお願いいたします。 *画像は全日展実行委員会が制作したチラシです。 ★★★ 内藤陽介の最新刊 『日の本切手 美女かるた』 好評発売中! ★★★ 税込2160円 4月8日付の『夕刊フジ』に書評が掲載されました! 【出版元より】 “日の本”の切手は美女揃い! ページをめくれば日本切手48人の美女たちがお目見え! <解説・戦後記念切手>全8巻の完成から5年。その著者・内藤陽介が、こんどは記念切手の枠にとらわれず、日本切手と“美女”の関係を縦横無尽に読み解くコラム集です。切手を“かるた”になぞらえ、いろは48文字のそれぞれで始まる48本を収録。様々なジャンルの美女切手を取り上げています。 出版元のサイトはこちら、内容のサンプルはこちらでご覧になれます。ネット書店でのご購入は、アマゾン、boox store、e-hon、honto、YASASIA、紀伊國屋書店、セブンネット、ブックサービス、丸善&ジュンク堂、ヨドバシcom.、楽天ブックスをご利用ください。 ★★★ ポストショップオンラインのご案内(PR) ★★★ 郵便物の受け取りには欠かせないのが郵便ポストです。世界各国のありとあらゆるデザインポストを集めた郵便ポストの辞典ポストショップオンラインは海外ブランドから国内製まで、500種類を超える郵便ポストをみることができます。 |
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