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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 蔵王に産廃は似合わない
2007-09-20 Thu 09:05
 工事で出たコンクリート片などを蔵王国定公園にある自分の別荘に不法投棄したとして、仙台のリフォーム会社社長らが逮捕されたそうです。社長らは自分の別荘なら構わないと考えたのかもしれませんが、なんといっても国定公園のエリアですからねぇ…。困った人たちです。

 さて、蔵王といえば、やはりこの切手でしょうか。(画像はクリックで拡大されます)

観光地百選・蔵王

 これは、1951年2月15日に「観光地百選」の第1集として発行された“蔵王”の8円切手です。

 観光地百選はもともと、毎日新聞社の企画で、10部門の観光地のベスト10を全国からの投票によって決めようというもので、各部門の1位となった10点が切手として取り上げられました。このうち、“山岳”の部で、233万676票(全部門を通じて200万票以上を獲得したのは蔵王のみ)を獲得し、第一位となったのが蔵王山です。

 蔵王は、宮城・山形の両県にまたがる連峰で、中央火口丘の五色岳(1674メートル)、外輪山の熊野岳(主峰:1841メートル)、刈田岳(1759メートル)などから構成されています。蔵王の名は、修験道の開祖・役の行者小角が、690年に金剛蔵王大権現をまつったことに由来するといわれ、冬のスキーと樹氷観光を中心に、火口湖の五色沼(通称・お釜。一日に何度も色を変えることからこの名がついた)や高山植物、温泉など、年間を通じて楽しめる観光資源にあふれています。 特に、シベリアからの湿った風が朝日連峰に突きあたって上空にのぼり、氷点下になっても水滴のままで飛んできたものが、アオモリトドマツに触れた瞬間に凍りつくという繰りかえしによってできる真冬の華・樹氷は、1936年にドイツのファンク映画製作所が撮影・紹介したことで、世界的にも知られるようになりました。

 さて、観光地百選切手の第一陣としての蔵王切手は、8円と24円の2種類が発行されていますが、今回ご紹介の8切手には堀修一が1947年に撮影したザンゲ坂下の風景写真が取り上げられています。堀は山形県観光係の職員で、当時、蔵王山写真の第一人者といわれていました。

 切手の発行にあわせて、地元では贈呈式が行われ、初日に印刷されたシートが関係者に贈呈されました。贈呈されたシートは、パラフィンの小窓がついた封筒(表面余白には、「贈呈 日本観光地百選観光郵便切手」などの文字が印刷されている)に封入され、封筒の裏面には「印刷廳封緘章」が捺されています。この贈呈用のシートは、単片にしてしまうと窓口発売の切手特別できませんが、耳紙に綴穴の痕跡がないため、シートの状態では一般のものと区別することは可能です。

 なお、切手発行にあわせて、山形県蔵王温泉・同笠井・宮城県青根・同刈田の各局では風景印の使用が開始されました。このうち、山形県の両局で使用された風景印のデザインは、蔵王山頂から北西部を望む風景に高山植物の「むしとりすみれ」を描くものと報道発表されましたが、これに対して、描かれているのは「むしとりすみれ」ではなく「こまくさ」の誤りではないかと収集家からの指摘がありました。一方、宮城県の各局で使用された風景印には、蔵王山頂の火口湖の大景が取り上げられています。

 なお、この切手を含む「観光地百選」の切手については、発行にいたるまでの経緯を含めて、拙著『濫造・濫発の時代』で詳しく解説していますので、よろしかったら、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。
別窓 | 日本:昭和・1945-52 | コメント:2 | トラックバック:0 | top↑
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この記事のコメント
#988 蔵王は
このときを含め3回、計4枚切手に取り上げられているようですが、この時発行された切手2種がその手始めでしょう。そういえば、蔵王は樹氷が有名ですが、切手で取り上げたのは、このとき発行された他1枚を含む計2種だけのようです。
 いわゆる「お釜」の五色沼は、計2回2種取り上げられてますので、蔵王は、山岳切手で夏と冬の魅力が揃って発行された少ない例かも知れません。
2007-09-25 Tue 21:48 | URL | muraki #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
 muraki様
 子供の頃、今回の切手と国定公園の蔵王の切手のテイストがあまりにも違うので、蔵王という名の景勝地が2ヶ所あるのかと間抜けなことを考えたことがあります。
2007-09-26 Wed 02:33 | URL | 内藤陽介 #-[ 内容変更] | ∧top | under∨
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