2007-09-17 Mon 11:12
今日は敬老の日です。というわけで、なにかお年寄りが描かれている切手がないかと探してみたところ、こんな1枚が出てきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、英領時代の1989年に香港で発行された「港人生活剪影(Hong Kong People)」の切手の1枚で、香港の代表的なスポーツとして、太極拳の老人と競馬が組み合わされています。 2006年の統計によると、香港には65歳以上のお年寄りが85万2100名、率にして総人口の12.4%住んでいます。このうちの3割が老後は大陸で過ごしたがっているとのアンケート結果がありますが、これはお年寄りの多くが、香港で生まれ育ったのではなく、若い頃に大陸から香港に渡ってきたという事情も関係しているのでしょう。 香港のお年寄りの多くは毎月2400香港ドル〜4000香港ドルの年金を受けていますが、そのお金で、広東省にある設備の比較的整って、コストの安い(入居費用は月額1000元程度)老人ホームで老後を過ごす香港人が増えてきているのだそうです。ただ、香港では年金を受けている高齢者の医療費は無料ですが、広東省の場合は高額の医療費が請求されるというデメリットがあります。 香港では、返還後の2000年12月より、日本の国民年金制度にならって、強制年金制度(MPF(Mandatory Provident fund:MPF)が実施されています。この制度は、会社と従業員の双方が積み立てを行う強制拠出型の年金制度で、18歳〜64歳の労働者(現地雇用の外国人を含む。ただし、現地雇用ではない駐在員などは除く)が対象です。会社と従業員はそれぞれ、従業員の毎月の現金収入の5%(上限1,000香港ドル)を、登録されたMPFプログラムに預託。従業員が退職する際に、会社はMPF積み立て金を解雇保証金、長期服務金(日本の退職金に相当)として使うことができることになっています。 年金の支給は60才以降で、60才になった時点で働いている人の場合は65才からの支給となります。また、一定金額以下の低所得者には免除制度がありますが、この免除制度も日本の制度に倣ったもののようです。 中国香港政府による年金資金の運用は順調とのことですが、やはり、幼少時から投資の精神を徹底的に叩き込まれているかの地の役人は、日本のようにお金が余ったら無駄な箱物を作って使い切ろうとは考えないんでしょうねぇ。ただ、私物化とか使い込みというのは、どんな社会でもありうる現象ですから、香港の年金役人がすべて信用できるということにもならないでしょうけど。 なお、現在香港在住のお年寄りの多くは、1949年に大陸で共産政権が成立した後、香港に渡ってきたものと考えられていますが、彼らが過ごしてきた香港現代社会の歩みについては、拙著『香港歴史漫郵記』で詳しくご説明していますので、ぜひ、ご一読いただけると幸いです。 |
#985 香港人の趣味は
この競馬と太極拳が代表的なものだろうかと切手を見たとき思いました。これはシリーズものでしょうか。
#992 コメントありがとうございます
muraki様
この切手は4種類セットの1枚で、今年の7月10日の条(http://yosukenaito.blog40.fc2.com/blog-entry-788.html)では、同時に発行された別の切手も取り上げてみました。よろしかったら、そちらもご覧ください。 |
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