2007-02-09 Fri 00:31
2月9日は語呂合わせで“ふぐの日”だそうです。というわけで、この1枚を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)
これは、1967年3月10日に魚介シリーズの第10集として発行された“とらふぐ”の切手です。 1966年から発行がスタートした魚介シリーズの題材は、当初、“日本国内または近海において人々に親しまれ、かつ漁獲高も多いもの”という基準で、イセエビ、コイ(またはフナ)、タイ、イカ、カツオ、アユ、ウナギ、ウニ、サバ、ハゼ、カニ、サケの12種類が候補に挙げられていましたが、実際には、後に、ウニ、ハゼ、カニが取り止めになり、代わりにブリ、フグ、サザエの切手が発行されました。 切手に取り上げられたトラフグは、日本の室蘭以南に生息し、瀬戸内海・九州・房総・紀州沖・朝鮮海峡・東シナ海・黄海などが代表的な産地となっています。食用と認められる22種類のフグの中でも最も高価で美味とされています。体長は70センチ前後で、体重は10キロ近くに達し、体色は、上半分が暗青色を帯びた黒色、下半分が白色です。また、体側には不規則な黒い斑紋があり、特に胸ヒレ後方には白く縁取られた大黒紋があります。なお、1年のうちで毒性が最も高いのは、産卵期の春です。 さて、切手の原画は、郵政審議会の専門委員でもあった山田申吾が制作しました。魚介シリーズは、日本画家が描いた魚の絵を切手にするというユニークな試みでしたが、芸術作品の常として、生物学的には必ずしも正確とはいえないモノも少なからずありました。このため、切手によっては、“国が発行する切手に不正確なデザインのモノを採用するとは何事か!”というクレームがつくこともあり、郵政省としては対応に苦慮しています。 今回ご紹介の“とらふぐ”については、特にそういったクレームはなかったようですが、イセエビやカツオ、サザエの切手をめぐる議論や騒動については、拙著『(解説・戦後記念切手Ⅲ)切手バブルの時代 1961-1966』にまとめていますので、ご興味をお持ちの方は、是非、ご一読いただけると幸いです。 ところで、フグといえば、その昔、まだ20代だった頃の1991年11月に忘れがたい体験をしました。 1991年11月16~24日、東京・晴海で国際切手展が開催され、僕の出品した作品は金銀賞を受賞しました。で、そのお祝いの会ということで、友人たち(7~8人はいたでしょうね)に築地のふぐ屋へ連れて行かれたのですが、ご馳走してもらえるのかと思っていたら、ゴルフのホールイン・ワンと一緒でこちらがご馳走する羽目になってしまいました。たしか、勘定は20万円弱だったと記憶しています。まぁ、それまで学生ということで年上の人たちにいろいろと奢ってもらっていたので、そのお返しをしたのだと言えないこともないのですが、その後、年末いっぱい、かなり鬱々たる気分になっていたことも事実です。 いまでも、そのときの友人たちに会うと、たまに「あの時は参った」という話をして、彼らには「お前はしつこい」といわれてしまうのですが、まぁ、なかなか忘れられるもんじゃありません。いずれにせよ、いまだから笑って話せるとはいえ、僕にとっては、フグといえば真っ先に思い出す出来事です。 *今日ご紹介の切手は1967年の発行ですが、このブログでのカテゴリーは“日本(昭和:1961~1966)”に分類しています。これは、この切手については、1966年から発行の魚介シリーズの1枚ということで、<解説・戦後記念切手>では、第3巻の『切手バブルの時代 1961-1966』に解説記事を掲載しているため、それにあわせたものです。あしからず、ご了承ください。 |
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