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内藤陽介 Yosuke NAITO
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 鉄道の日
2021-10-14 Thu 01:11
 きょう(14日)は“鉄道の日”です。というわけで、こんな切手を持ってきました。(画像はクリックで拡大されます)

      さようなら鉄道郵便

 これは、1987年3月26日に発行された“さようなら鉄道郵便”の切手です。

 鉄道を利用した郵便物の輸送は、わが国では1872年に新橋-横浜間に最初の鉄道が開通した時から行われていました。当初、鉄道による郵便物の輸送に際しては、郵便職員は列車に乗務していませんでしたが、翌1873年4月から職員の乗務が始まり、郵便物の積み下ろしが行われるようになります。

 その後、鉄道網の発達に伴い、鉄道による郵便物の輸送量も急増し、1892年4月からは列車内における郵便物の区分が開始され、その後の鉄道郵便物の区分・輸送の骨格が形成されました、鉄道郵便線路は、当初の29キロから昭和30年代には3万8000キロにまで拡大していきました。

 しかし、昭和40年代後半以降、高速道路や航空路の発達や速度・コスト等の理由から、郵便物の輸送における鉄道以外の交通手段の占める割合が次第に増加。さらに、国鉄の分割・民営化が現実の問題として浮上してくると、郵便物を含む貨物輸送は全国一本化した貨物鉄道会社が承継するものの、同社は長距離コンテナ輸送に重点を置き、郵便物の輸送という点ではダイヤが不便になることも予想されました。

 こうしたことから、郵政省は郵便物の輸送における脱鉄道の方針を決定。1984年2月1日の国鉄ダイヤ改正にあわせて、郵便輸送の抜本的見直しを行い、鉄道郵便車両のうち扱車(乗務員が郵便車の中で郵便物の区分を行えるように区分棚等の設備されている車両)44両(区分棚等の設備がなく、乗務員が郵便物を郵袋のまま護送する車両)、護送車3両の計47両を廃車し、鉄道主体の郵便輸送システムから自動車主体のシステムへの転換を図ります。

 さらに、1985年3月の国鉄のダイヤ改正では扱車41両が廃止され、翌1986年3月のダイヤ改正で扱車32両、護送車10両、パレット車(郵袋を納入したパレット24台を載せられる車両。乗務員は乗車せず、郵便車に施錠して運送する)1両が廃車されました。

 この時点で、鉄道郵便線路は札幌-函館-青森-仙台-東京-大阪-門司-鹿児島を結ぶライン(郵便線路としては4本)と鉄道郵便局9局(札幌・青森・仙台・東京・長野・名古屋・大阪・広島・熊本)、鉄道郵便車両は護送車29両、パレット車11両が残るのみとなっていました。

 そして、1986年10月1日のダイヤ改正で鉄道郵便局が全廃され、これに伴い、護送車も全廃され、日本の鉄道郵便の歴史は事実上、幕を閉じることになりました。

 最後の鉄道郵便車両は、1986年9月26日午後4時02分、東京鉄道郵便局汐留輸送センターのある汐留貨物駅を出発し、郵政中央吹奏楽団によって「蛍の光」が演奏される中、門司駅へと向かっています。

 当初、昭和61年度の特殊切手発行計画には、鉄道郵便の廃止に関する記念切手の発行は含まれていませんでしたが、実際に鉄道郵便の廃止が決まると、1986年秋頃から年度内の記念切手発行に向けて計画が進められています。

 こうして、年度末ぎりぎりの1987年3月二26日、「さようなら鉄道郵便」と題して2種連刷の切手3000万枚(各1500万枚)が発行されることになりました。

 切手に取り上げられたのは、鉄道郵便車ならびに「郵便現業絵巻」(部分)です。

 このうち、“鉄道郵便車”は、1889年に使われていたユ3700郵便車で、車輛の頭文字の“ユ”は郵便の頭文字に由来しています。

 一方、「郵便現業絵巻」は、1893年にシカゴで開催された万国博覧会に出品された上下2巻からなる絵巻物で、上巻は1892年に完成した東京郵便電信局の局内の作業を、下巻は局外の場面を、それぞれ6場面ずつ計12場面取り上げたものです。切手に取り上げられているのは、郵便物を鉄道郵便車に積み込む作業風景を描く下巻の一部で、トリミングで省かれた部分には、郵便車の全体像のみならず、旅客や車中での郵便物の区分作業なども描かれています。

 さて、今年(2021年)は、1871年に日本の近代郵便が創業されてから150周年の節目の年に当たっており、その記念企画として、ことし4月には『切手でたどる郵便創業150年の歴史』(全3巻予定)のうち、1945年までを扱った第1巻を刊行いたしました。そして、11月20日付で昭和・戦後の時代(1946-89)を扱った第2巻を刊行すべく、現在準備を進めています。すでに本文の執筆は終え校正作業を進めているところで、11月5日(金)から始まる全国切手展<JAPEX>の会場でも先行販売と刊行記念のトークベントを行うべく、準備を進めています。詳細等につきましては、今後、このブログでもご案内いたしますので、よろしくお願いします。


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